産業構造の転換で技能人材ニーズ急増、発展期迎えた中国の職業教育

産業構造の転換で技能人材ニーズ急増、発展期迎えた中国の職業教育

河北省承德県の総合職業技術教育センターで、サービスマナーのトレーニングを受ける高速鉄道乗務員クラスの学生。(5月17日撮影、承徳=新華社配信/王立群)

 【新華社北京6月11日】中国では現在、経済構造の転換と産業の高度化に伴い、技術・技能人材へのニーズが急増し、職業教育もますます重視され、支援を受けるようになっている。

 5月に開催された中国の第2回全国農村振興職業技能大会で、看護専門学生の喩驕竜(ゆ・きょうりゅう)さん(20)は、新疆ウイグル自治区代表団のメンバーとして保育技能種目の競技に参加した。喩さんは、同種目の学生部門で唯一の男性参加者だった。両親は、喩さんが職業教育を選択することを支持し、保育、高齢者介護などの業界の発展にも期待している。喩さんは、「理論の学習や実践、将来の進学などでは、職業教育が広大な舞台を提供できる」と見ている。

産業構造の転換で技能人材ニーズ急増、発展期迎えた中国の職業教育

第2回全国農村振興職業技能大会で行われた、高齢者介護・看護種目の競技の様子。(5月8日撮影、貴陽=新華社記者/陶亮)

 広東省の広州市軽工技師学院の教員、王暁聡(おう・ぎょうそう)氏は、現代の青年層は学業、職業選択の面で大きく変化しており、伝統的な家政系などの分野にも多くの若者が参入していると指摘。彼らには比較的斬新なスキルと理念があり、特に経済的に発展した地域では、高齢者介護、保育などの施設でより多くの若者の姿が見られるという。同大会の主催者関連の統計によると、参加者701人のうち、1995年以降生まれが494人で、全体の70%超を占めた。

産業構造の転換で技能人材ニーズ急増、発展期迎えた中国の職業教育

第2回全国職業技能コンテストの工業ロボットシステム操作種目の競技参加者。(2023年9月16日撮影、天津=新華社記者/李然)

 河南省開封市にある河南化工技師学院には、中国の職業教育機関で唯一の電子顕微鏡技術専攻があり、同校で最も人気を集めており、卒業生の多くは、中国の著名な大学、病院、研究機関に就職している。人気の背景には、中国が材料科学、生命科学、半導体産業など最先端の科学、産業分野の研究開発への投資を拡大し続けていることがあり、社会が技能人材を評価し続けていることも反映している。同省の技術系高等教育機関の募集人員は、15年連続で10万人を超え、ますます多くの労働者、特に若い世代が技能人材となる道を選んでいる。

産業構造の転換で技能人材ニーズ急増、発展期迎えた中国の職業教育

河北省承德県の総合職業技術教育センターで、授業を受ける新エネルギー車整備専攻の学生。(5月17日撮影、承徳=新華社配信/王立群)

 一方、職業技術教育は就職市場と密接にリンクしており、実践と応用能力の育成により重点が置かれている。河北省承德県の総合職業技術教育センターは近年、就職市場の需要動向に基づき、高速鉄道乗務員、新エネルギー車整備などのコースを新設。「学校と企業の協力」による学校運営モデルを採用し、業界に必要な専門技術人材をオーダー式で育成、学生の総合的な職業技能を高めるとともに、就職率も向上させている。重慶市は、職業教育の「企業と共に海外進出」推進に力を入れており、協力国で技術・技能人材を育成するとともに、中国企業のグローバル市場進出の加速をサポートし、中国と外国の経済、貿易協力と人的・文化交流の新たな懸け橋となっている。

産業構造の転換で技能人材ニーズ急増、発展期迎えた中国の職業教育

タジキスタンのドゥシャンベにある「魯班工坊」で、学生に測量の実践的な知識について説明する天津城市建設管理職業技術学院の教師(奥左)。(2023年4月12日撮影、ドゥシャンベ=新華社配信)

 データによると、中国には現在2億人を超える技能労働者がおり、うち高技能人才は6千万人を超える。2025年には、中国製造業の重点分野で3千万人近い人材不足が生じ、サービス業では、家政系、高齢者介護などの分野の人材不足が4千万人に上る。業界関係者は、中国で高技能人才へのニーズが増すのに伴い、職業教育は急速な発展期を迎える可能性があり、業界は大きな成長が見込めると指摘している。(記者/沈氷潔)

© 新華社