【マーメイドS/危険な人気馬】勝率わずか「3.7%」の斤量増と馬券内率「9.0%」の血統では……重賞ウイナーは“消し”

今週は、牝馬による夏の名物ハンデキャップ競走、第29回マーメイドS(GIII、芝2000m)が京都競馬場で行われる。

今年は、愛知杯の覇者ミッキーゴージャスや、福島牝馬Sを制したコスタボニータ、昨年のオークス4着ラヴェルなどの重賞ウイナーをはじめ、タガノパッションゴールドエクリプスピンハイといった、重賞初制覇を目指す重賞常連組に加え、3勝クラスを制した上がり馬エーデルブルーメなど、多士済々なメンバーが集結。大波乱の可能性も秘める難解な一戦だ。

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そんな中、前走で重賞初制覇を果たしたコスタボニータが、今回の「危険な人気馬」の標的となる。

■福島牝馬S制覇が仇となる

4歳となった昨年2月にオープン入りを果たして以降、阪神牝馬SやクイーンS、愛知杯で3着に入線するなど、重賞制覇に手の届くところまで来ていたコスタボニータ。6度目の重賞挑戦となった前走の福島牝馬Sで、好位追走から鮮やかな差し切り勝ちを収め、待望の重賞ウイナーの仲間入りを果たし、勢いに乗って重賞連勝を目論んでいる。

しかし、過去10年のマーメイドSで、1~3番人気の成績は【3.4.3.20】と、上位人気の3分の2が馬券圏外に沈む波乱含みのレース。その中で、前走の重賞制覇が評価されて、人気を集めそうなコスタボニータは、“福島牝馬S制覇”という勲章が邪魔をしてしまうことになる。

福島牝馬Sが創設された2004年以降、福島牝馬Sを制してマーメイドSへ直行した例は、10年レジネッタと、18年キンショーユキヒメの2例のみだが、両者とも掲示板外に敗れている。一方、昨年マーメイドSを制したビッグリボンのように、福島牝馬Sで敗れたことにより、斤量が据え置き、もしくは斤量減によって、マーメイドSで台頭することは可能だが、重賞を勝ったおかげで、斤量増によるハンデは、マーメイドSでは重くのしかかる。

事実、レースを問わず、過去10年のマーメイドSで、前走から斤量増の馬は【1.3.4.19】の成績であるのに対し、斤量減の馬は【7.5.4.81】と、勝率では斤量減の馬に分がある。

加えて、3走前の愛知杯では3着に好走しているが、コスタボニータは今回が2度目の芝2000m戦。イスラボニータ産駒は、重賞2勝のヤマニンサルバムなど、牡馬は芝2000m超えのレースでも活躍している馬は存在するが、牝馬の芝2000m以上の成績は【0.0.2.20】と、産駒デビュー以来、一度も連にすら絡んだことがない。イスラボニータ産駒の牝馬は、短距離指向にあり、コスタボニータにとっても、2000mという距離は少し長い可能性は高い。

全国4場で勝ち星を挙げており、コースを問わず結果を残しているコスタボニータだが、栗東所属ながら、今回が初めての京都コースという点も懸念材料の一つ。福島牝馬S制覇による斤量増、産駒の距離への不安材料など、信頼できる買える材料は乏しく、人気ほどの妙味はないと考え、今回は思い切って「消し」でいってみたい。

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◆著者プロフィール

石川豊●いしかわゆたか
20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。

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