【エプソムC/追い切り診断】素質、実力上位も辛口「B」評価 「併せ馬でも手応え劣勢」でレベルダウン

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第41回エプソムC(9日/GIII、東京芝1800m)には、巻き返しを狙う4歳馬のレーベンスティール、長期休養明け2戦目で重賞初Vを目指すトゥデイイズザデイ、ルアインやシャフリヤールを叔父に持つ良血アルナシームらが出走予定。

本記事では、出走各馬の追い切りを診断し「S」「A」「B」の3段階で評価した有力馬や穴馬をピックアップ。ここでは「ヴェルトライゼンデ」を取り上げる。

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■ヴェルトライゼンデ

【中間調整】ホープフルSで2着、スプリングSで2着、日本ダービーで3着、神戸新聞杯で2着などクラシック路線のど真ん中を歩み、存在感を示した素質馬だ。ちなみに現7歳で、顕彰馬コントレイルの世代にあたる。古馬となってからも活躍に期待されたが、明け4歳初戦だったAJCCでの2着後に屈腱炎で長期の戦線離脱を余儀なくされた。2022年6月の鳴尾記念が約16カ月ぶりの復帰戦。さすがに厳しいかとも思われたが、インを鋭く突いてあっさり抜け出し、ここで待望の重賞初勝利を収めた。その後はジャパンCで3着、日経新春杯勝ちなど能力の高さを誇示したものの、昨年の大阪杯後にまたしても屈腱炎を発症。

それでも陣営は復帰をあきらめず、懸命なケアを経て今年4月下旬に栗東へ帰厩。プール併用で徐々に体を慣らし、実戦復帰の目算が立ったことから5月頭に復帰戦をエプソムCとすることが決まり、調教負荷が強められている。2週前の坂路追いでこの中間初めての併せ馬を敢行。さすがに重苦しさはあったが、2勝クラスをねじ伏せ先着。1週前の坂路単走でも最後はやや苦し気ではあったが、4F51秒3(一杯)と悪くない時計をマークした。

【最終追い切り】レース当週は水口騎手が騎乗し(本番は戸崎騎手)、坂路で併せ馬。オープン馬ウェルカムニュースを追走し序盤から速いラップを刻む意欲的な内容で、追い比べでわずかに切れ負けしてアタマほど遅れ入線に終わっている。

【見解】2年前に見事な復帰Vを果たしており、今回も不屈ぶりを見せつけてくれそうな雰囲気は漂う。しかし50秒台を連発していた鳴尾記念時と比べると、今回の時計は若干ではあるがレベルダウン。併せ馬でも手応え劣勢で、気持ちの強さだけでなんとか食らいついている感がある。使い込んでいない分、加齢による能力減衰はそこまでないとしても、さすがに5歳6月の鳴尾記念時と7歳6月の今回とではまったく同じとは言えないだろう。左回りは問題ないとして、距離1800mも若干短い。人気ほどの信頼は置きづらいところだ。

総合評価「B」

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著者プロフィール

西村武輝(にしむらぶこう)
【重賞深掘りプロジェクト】調教ライター。競走馬の追い切り評価を専門として、ネットメディア中心に執筆を続けているフリーライター。UMAJINでは「競馬サロン」開設以前から毎週の重賞出走全頭のレポートを執筆、担当。またプロレス関連業界にも関わっており、週刊プロレスや書籍等への寄稿歴もある。

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