永野芽郁&佐藤健、実写版『はたらく細胞』で6年ぶりの共演 重要作だった『半分、青い。』

映画『はたらく細胞』にて、W主演を務めることが発表された永野芽郁と佐藤健。2人が共演するのは、2018年に放送された朝ドラ『半分、青い。』(NHK総合)から6年ぶりのことである。かつて日本の朝に笑いと涙を届けた2人は、今作ではどのような化学反応を起こすのだろうか。

本作は、『月刊少年シリウス』(講談社)に連載されたマンガ家・清水茜によるデビュー作を実写映画化するもの。私たちの誰もが馴染みのある“細胞”を擬人化して描き、その斬新でユニークな設定が大きな話題を呼んできた人気作だ。細胞たちの活躍は日本のみならず海外でも好評を博し、アニメ化や舞台化などのメディアミックス展開もなされてきた。実写化となれば、否が応でも注目が集まることだろう。永野と佐藤はそんな作品で“再タッグ”を組むこととなったのだ。

永野が演じるのは赤血球である。血液の循環によって酸素を体中に送り届け、肺へ二酸化炭素を運搬する、私たち人間にとってとくに馴染み深い細胞だ。ヘモグロビンを多く含んでいるため赤く、『はたらく細胞』においては配達員のようなキャラクターとして表現されている。いっぽう、佐藤が演じるのは白血球(好中球)で、おもな仕事は体内に侵入した細菌やウイルスなどの異物を排除すること。大ぶりのナイフを携帯し、血管内をパトロール。外敵を見つけようものなら、たちまち斬殺してしまう。その姿勢に容赦はない。

物語の舞台は人間の体だ。細胞たちの活躍なくして私たちの健康がないことは、おそらく多くの方が学生時代に理科の授業で教わったのではないだろうか。エンターテインメントとして再履修するいい機会になりそうだ。

アニメにはアニメならではの表現があり、舞台作品では観客の目の前に赤血球や白血球らが登場するが、果たして映画ではどのようにその活躍や日常を描くのだろうか。かなりシュールなものになるであろうことは容易に想像がつくが……。

そこで注目なのが、脚本を手がけるのが徳永友一であり、監督が武内英樹だということ。そう、『翔んで埼玉』シリーズで日本を沸かせたコンビである。シュールな世界観づくりでいえば、まさに適任なのではないだろうか。しかも、永野は『地獄の花園』(2021年)のような特異な世界観のコメディ作品の看板を背負った経験があるし、佐藤はいまさら説明は不要なほどに多くのアクション作品で主演を務めてきた。適材適所でのそれぞれの“はたらき”に、期待が高まるばかりである。

そして何といっても注目なのが、永野と佐藤の並びが6年ぶりに実現すること。『半分、青い。』は両者にとって初の朝ドラで、当時まだ10代だった永野は同作でヒロインを務めたことにより、その存在がお茶の間に浸透した。月9ドラマ『君が心をくれたから』(フジテレビ系)での好演も記憶に新しいところだ。佐藤はすでに相応のキャリアを築いていたが、放送が終了して間もなく公開された『億男』(2018年)から最新作『四月になれば彼女は』までにいくつもの代表作を得て、名実ともに日本を代表する演技者となった。思い返せば『半分、青い。』はそれぞれのキャリアにおいて、非常に重要な作品だと位置付けられるものなのだろう。

『半分、青い。』での2は、同じ日に同じ場所で生まれた幼なじみを演じた。物語の始まりから終わりまで、互いにかけがえのない存在であり続けた。赤血球と白血球もまた、互いにかけがえのない存在……。それぞれ鍛え上げた俳優としての力が、6年ぶりのコンビネーションに反映されるのだろう。私たちは各々の体の細胞を大切に、その日を待つばかりである。
(文=折田侑駿)

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