災害時に非常用電源でALS患者支援 訪問看護ステーション連絡協議会が患者宅で訓練 群馬・みどり市

災害時の停電発生を想定した訓練

 災害に伴う停電に備え、群馬県訪問看護ステーション連絡協議会の桐生みどり地区の支部員は10日、みどり市大間々町内の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の男性患者宅で非常用電源を用いた訓練をした。蓄電器などで人工呼吸器を維持できるか検証した。

 ALSは神経の異常で徐々に全身の筋肉が衰えていく病で、進行すると人工呼吸器が欠かせない。同協議会理事で、男性の看護を担当する「えがとど」(桐生市)の柏瀬郁也社長が実演し、同支部の訪問看護事業者10社や県の職員が見守った。

 人工呼吸器、吸引器などが蓄電器で通常通り稼働するか、バッテリーの消費スピードを確認。無線で応援を呼んだり、カセットガス式の発電機を試したりもした。男性の看護装置の維持管理を担う合同会社メディカルサポート(前橋市)の志田雅利社長が、非常用電源を使う場合の注意点を伝えた。

 本年度から災害時の事業継続計画(BCP)が事業者に義務化され、訓練の実施、他事業者との連携が求められるようになったため行った。同支部によると、協議会の活動として同様の訓練をするのは県内初で、撮影した動画などを参考資料として共有することにしている。

 男性の妻は「地震に限らず落雷や火災時の停電も不安で、訓練は非常に重要な取り組みだった」と話した。

 柏瀬社長は「災害時に必ずたどりつけるか分からないので、各患者宅に蓄電器が備えてあることが望ましい。費用も高く、普及には行政の協力が必要」と訴えた。

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