前半の3ゴールでシリアの心をへし折る。後半の停滞はサッカーにありがちな現象で、日本の貫禄勝ちだった【コラム】

2024年6月11日、エディオンピースウイング広島で開催された北中米ワールドカップ・アジア2次予選の最終節で、日本代表がシリア代表に5-0と快勝した。

この日の日本代表は、ミャンマー戦に続き3バックシステムを採用した。GKは大迫敬介、CB3人は冨安健洋、板倉滉、町田浩樹で、ボランチコンビは遠藤航と田中碧。ウイングバックは右が堂安律、左が中村敬斗で、2シャドーが南野拓実と久保建英、CFは上田綺世だった。

4-4-2に近い布陣で臨んだシリアに対し、日本は立ち上がりから積極的に仕掛けた。堂安と中村の両ウイングバックが高いポジショニングで3-2-4-1のような陣形で押し込もうとしたのだ。

崩しの局面で存在感を示していたひとりが中村だ。トリッキーなプレーでマーカーを翻弄しつつ、13分には絶妙なクロスで上田の先制点をアシスト。さらに19分に絵に描いたような縦パスを久保に通してカウンターを演出するなど、2ゴールを決めたミャンマー戦に続き大仕事をやってのけた。

そしてもうひとり、右シャドーを任された久保もチャンスメーカーとして異彩を放った。ボールを持てば別格の存在感があり、実際、複数のゴールに絡んでいる。

攻撃面に目を奪われがちの久保で見逃せないのは、献身的なプレッシング。激しい上下動を繰り返し、守備にも貢献する久保のマルチな働きは評価に値した。

3-0で迎えた後半は点差もあり、さらにシステムを4-4-2に変更したことで前半ほど締まったゲームではなかったが、チームパフォーマンスが停滞するのはサッカーにありがちな現象だ。

後半の日本がどうのというよりも、前半のうちに3点を奪った点を褒めるべき。前半のうちにシリアの心をへし折った日本の貫禄勝ちと断言できる。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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