プロ17年目にして「勉強中って感じです」 決勝打のソフトバンク中村晃が追い求める「正解」…現時点での答えは

巨大クラッカーを鳴らす有原(奥)と中村晃(撮影・西田忠信)

◆日本生命セ・パ交流戦 ソフトバンク4―2ヤクルト(11日、みずほペイペイドーム)

大ベテランの意地だった。ソフトバンクの中村晃外野手(34)が、値千金の決勝打を放った。

一塁ベース上でガッツポーズを2度見せた。4連打で同点とし、柳町達の犠打で好機を広げた7回1死二、三塁。2番手山本大貴の直球を右前へはじき返し、2人の走者を本塁に迎え入れた。

「つないでつないで大チャンスで回ってきたんで。本当にいい結果が出て良かったなという感じですよね。ベンチに帰ってね、笑顔で(チームメートが)迎えてくれましたし。みんなが出迎えてくれる、ああいう姿がうれしい」

山川穂高の加入もあって、今季は代打の切り札としてベンチスタートが増えた。スタメンとは異なり、たった1度のチャンスで結果を出すことを求められることも多い。「最初は代打だから1打席しかないんで、対策とかは考えてはいっていました」。代打での打率は1割8分5厘。思い通りの結果には遠かった。

プロ17年目の大ベテランは考え方を改めた。「最近はそんなに代打だからとか、スタメンだからとかはあんまり考えずにいっています。勉強中って感じです」。今も「正解」を求めて模索は続く。それでも現時点での自分なりの答えはある。

「目の前の一打席、一球に集中して結果を出せるようにやっていくだけかなと。あまり状況は関係ないかなと思います」

小久保監督は「彼の良さは言い訳しない、人のせいにしない、環境のせいにしない。そういう姿がチームを引っ張っていく。ベンチの姿を見て、若い選手が学ぶことが多いと思う」とたたえる。プロとして最善の努力を黙々とこなす。新たな「正解」を求め続けながら、目の前の打席でしっかり結果を残した。(鬼塚淳乃介)

© 株式会社西日本新聞社