10代女性盗撮で逮捕の富山県職員は「ANAあきんど」の“助っ人社員”…自治体に対する愚劣な背信行為

富山県庁(C)共同通信社

またしても「ANAあきんど」の出向社員による「背信行為」だ。

富山市内の大型商業施設で10代女性のスカート内を盗撮したとして、富山県観光振興室主幹の宇佐美貴史容疑者(55)が8日、県迷惑防止条例違反の疑いで県警西署に現行犯逮捕された。宇佐美容疑者は「ANAホールディングス」の子会社「ANAあきんど」の社員で、今年4月から県に出向していた。

6月8日午後4時35分ごろ、宇佐美容疑者は商業施設の1階フロアにいた10代女性の後をつけ、背後からスカートの下にビジネスバッグの端をそっと差し入れ、パンティーを動画盗撮した。施設内を巡回していた警備会社の保安員が不審な動きをしている男を発見。声をかけたところ、逃げようとしたため、その場で取り押さえ、駆け付けた署員に身柄を引き渡した。

「ナイロン製の黒色のビジネスバッグの開口部のチャックのちょっと下あたりに、親指ほどの穴が開けてあり、そこからビデオカメラに取り付けた小型レンズの先端が出ていた。商業施設は客でごった返していたわけではなく、あまりにも女性に近づいていたため、おかしいと思ったのでしょう。カバンに穴まで開けていたことから、余罪があるとみて捜査を進めています」(捜査事情通)

2020年、全世界で新型コロナウイルスが猛威をふるい、航空業界は業績が悪化。観光誘客でつながりの深い自治体は業界を支援しながら民間のノウハウを生かそうと、人事交流を開始した。当時、ANAあきんどの前身「ANAセールス」中部支社に所属し、21年4月、岐阜県高山市に受け入れてもらった宇佐美容疑者もそんな「助っ人社員」の一人だった。

総務省は各地の自治体が「地域活性化起業人」として受け入れた民間企業の社員の活用事例を公開。その中で宇佐美容疑者の「派遣元企業の人脈やノウハウ等」について<派遣元のANAが発行・配信する各媒体に向けて、「飛騨高山ブランド」に関するプロモーションを実施している。民間経験の視点に立ち、各会議や交渉時、また事業プロポーザル審査時など忌憚なく意見を提案している>と紹介している。

宇佐美容疑者は22年、英国ロンドンで開催された飛騨高山地方の展示会で出展準備の中心的役割を担い、市のプロモーション戦略のマネジャーを務めていた。いったん、ANAあきんどに戻り、今年4月、課長級の主幹として富山県観光振興室に派遣されたばかりだった。

「県内の観光情報の発信や観光プロモーションなど、県外からの誘客の促進に関する業務です。県は22年にANAと連携協定を結び、人事交流という形で毎年1人、グループの社員を受け入れています。今回もその流れです」(県人事課)

ANAあきんどの社員を巡っては、今年4月にも兵庫県姫路市に出向していた50代男性職員が勤務時間中、コンビニで缶チューハイを購入し、毎日複数回、飲酒を繰り返していた。男性職員は、地方創生を推進する市政策局で主幹を務めていた。

会社がヤバい時に手を差し伸べてくれた自治体に後足で砂をかけるようなマネをするとは、誰もANAあきんどから「助っ人社員」の派遣を受け入れてくれなくなる。

© 株式会社日刊現代