大日本プロレスの佐藤孝亮が6月16日、BJW認定ジュニアヘビー級王者・関札皓太へ挑戦するが、大会PRのためプロレスTODAY編集部に来社した。
パニック障害を公表して、今年の1月2日後楽園ホール大会で復帰したが、治療を続けながら試合に限定出場している。
そんな佐藤に関札とのタイトル戦に向けての意気込みやパニック障害での欠場期間の思い、タイトルを奪取してしたいことなどを語ってもらった。
①5月4日横浜武道館大会で挑戦表明した時の心境
ーー6月16日後楽園ホール大会のメインイベントで、BJW認定ジュニアヘビー級選手権、関札選手への挑戦が決定しました。5月4日横浜武道館大会でエンデル・カラ選手からベルトを奪取した関札選手へ挑戦表明したときの心境について、改めてお伺いしたいのですがいかがでしょうか?
まず、ヘビー級に第1試合(ジェイコブ・クレインから変形横入り式エビ固めで勝利)で勝っちゃったって。勝っちゃったという言い方をさせていただくんですけど。私が一番びっくりしちゃったんですけど。勝ってても、負けても何か、どういう形であれ、挑戦したいなと、ちらっと思ってはいたんですけど。勝っちゃったので行くしかないなと思って。関札、佐藤が、横浜武道館のリングで2人で立っていることに、ちょっと私は意味を感じていました。負けてても、半ば強引に行こうかと思っていた節もありました。ですけど勝てたので、スムーズに行けてよかったですね。安心してます。
ーーやはりいろいろな思いを込めた挑戦表明だったと思うので。やはり関札選手というところが、自分の心の中で一番動いたポイントでしょうか?
そうですね。仮に関札さんが負けたとしても、次は勝手に自分だと決めてはいたんですけど、関札さんが勝ったというのが、僕の中で一番ベストなシチュエーションになったというか。頭で考えていたものが、ガチッときた感じはありましたね。
ーーリング上で挑戦表明したときの、関札選手の顔を見た時はどうでしたか。
いや、嬉しそうでしたね。あんなにニコニコしちゃって。嬉しそうでした。なんか僕もすごく嬉しかったです。僕は欠場前は、結構自分の居場所を求めて噛みついていったような気がしたんですけど。ベルトというよりかは、ベルトを取り返した関札皓太という男と、もう1回シングルでやりたいなっていう気持ちの方が今強いですね。
ーー佐藤選手から見た関札皓太という選手は、どんな印象ですか。
大日本ジュニアという感じですよね。結局、僕がいない間も活動してきてくれたというか、動き続けてくれたのは彼ですし、カラさんにベルトは渡ってはいたんですけど。この間、前哨戦って僕は試合数が少ないので、まだ2回しかできてないんですけど。その2回でも十分、十分って言い方は失礼ですかね。すごく重みが、あの数分でも伝わる感覚っていうのは僕の中にありました。今の大日本ジュニアという感じじゃないですか。
ーー現在は関札選手が大日本ジュニアの顔という立場ですね。
そうですね。
ーー佐藤選手は今後の担い手という意味では、王座戦がメインにもなったというところを踏まえて、今後のターニングポイントを迎えるような感じがします。
あのベルトって、元々は大日本プロレスの橋本和樹と吉野達彦が中心で立ち上げたものだったと思うんですけど。今となっては、2人の存在はよくわからないですし。1人(吉野さん)は怪我してるのか、もう1人(橋本和樹)はちょっと太っちゃったなっていう感じなんですけど(笑)その中で、僕の中で大日本ジュニアは、ずっと忍さんと青木(優也)さんのイメージが強いベルトだったんですけど。ここ数年で、本当に、関札皓太の色のベルトになったなという印象が強くて。そこに割って入りたいというのが正直な気持ちです。
ーー佐藤選手が絡むことによって、また新たな色が交わってくるのかなというところがありますね。
嬉しいですね。
ーー現在、各団体で「新時代」っていうのがよく叫ばれているので大日本もデスマッチ・ストロング・ジュニアそれぞれが「新時代」が新しい軸になりつつありますね。
そうですね。まだジュニアは歴史が浅いですけどね。常に新しいことが起こっいてほしいですし。どうしても、層が薄いじゃないですか、大日本ジュニアって。その中でも、常に話題を提供し続けるものでありたいですよね、やっている身からすると。
ーー挑戦表明した際には関札選手から「無茶だけはするなよ」「ありがとう」という、ある意味すごく優しいハートフルな部分も、すごく出してきてましたね。
戸惑うんですよ。困りますよ、こっちも(笑)
ーー関札選手の他の雑誌インタビューでも、そういう表現をされていらっしゃるので。
思わず読んじゃうんです。
ーーあれを見た佐藤選手は、どんな捉え方をされてますか。
そうですね。関札皓太って、俺のこと大好きなんだと思いました(笑)
ーー普段はどうなんですか、2人の関係は。
なんだろうな、そんなにプロレスの話とかもしないんですよ、実は。プライベートの話をするかと言われたらしなくて。
ーーそうなんですか。
そうなんですよ。でも、仲悪いかって言われたら、そういうわけでもなく。いい意味で競い合えてるって言ったら、僕の方が後輩でおこがましいかもしれないですけど。知らず知らずに意識している仲のような気がします。
ーーお食事に行かれたりはするんですか。
ないです。
ーー全然ですか?
プライベートで、2人で行ったことがないです。
ーーそうですか。だけど、すごくソウルフルというか、温かい感じの返しをしているので。
そんなことできるんですね。ビジネスですから(笑)
ーーここは、わからないですよね(笑)
怖い。あれも心理戦ですかね。
ーーこれも心理戦なのか、それともリアルなのかっていうのが、現状では、ちょっとわからないですよね。
わからないです。リアルであってほしいですけどね(笑)
ーーだから僕らも、どういう感情で話してるのかなという。ある意味表情豊かですけど、ポーカーフェイスじゃないですか。
そうですね。
②王座戦への意気込み
▼メインイベント BJW認定ジュニアヘビー級選手権試合
30分1本勝負
<第10代王者>関札皓太 VS <挑戦者>佐藤孝亮
※初防衛戦
ーー次に今回の王座戦への意気込みをお聞かせください。
僕は、欠場するときから含めて、本当に会社におんぶに抱っこされてきた人間。欠場期間中に、セコンドに付く時も、しっかり場所を用意してもらって。さらにお客さんからも、良いステップを作ってもらってきた人間なので。本当に1人の力では、ここまで来れなかったなというのを身にしみて感じているんですよ。そういった意味で、ベルトを取ることは、恩返しになるというわけではないんですけど。返したいものがあるんですよね、僕の中で。ベルトを取ることで、誰かの背中を、ちょっと押すことができればいいなとは思いますね。
ーー佐藤選手がパニック障害も含めて、今までの頑張ってきた歴史。それを見てきたファンの人たちが、特にこの後楽園のメインの檜舞台で、そういう姿を見たいと思う人も、非常に多いと思います。
思いますね。そう言ってくれると嬉しいですけど。
ーー後楽園のメインという部分に関しては、どう思っていますか。
ジュニアでメインをやるというのは、デスマッチとか、ストロングヘビーへの挑戦だと自分で勝手に思っていて。僕は、とにかくジュニアの試合で、いつもよりお客さんを呼んでやろうと、やってやろうと思っているんですけどね。あの場でOKを出してくれた登坂社長にも、ちょっと返せるものは返していきたいですね。
ーーデスマッチ・ストロング・ヘビーへの挑戦というのは、以前からお持ちだったのですか。
ありますね。やはり、今も昔も大日本プロレスってデスマッチを目当てに来るお客様が多い印象で。そりゃ当たり前ではあるのですが、やっぱり悔しい部分もあって。ストロングBJもストロングJもこんなに面白いのになって、どうやったら伝わるのかなと常に考えてはいるんです。でも、これってやり続けるしかないと思っているので。本当、大日本プロレスとして、いろいろな角度から攻めるという意味での一つとして、ジュニアメインというのを、しっかり自分の中で、自分と関札さんで押していけたらと思っています。
ーーやはり関札・佐藤戦が、「名勝負数え唄」のような形で、ストーリーが広がっていくような戦い方になっていくのも、楽しみかなと思いますね。
それは、個人的にも楽しみです。あそこで、僕が前回後楽園ホールで、社長に直談判してOKが出たのは、やはり僕のおかげではないんですよ。これって、やはり関札皓太の実績があってこそだと思うんですよ。あのチャンピオンだから許してもらえたと思っているので、彼と戦うことで、とにかくその戦いをいろいろな人に届けたいです、僕は。それで少しでも何か感じてくれる人を増やしていきたいし、プロレスっていいなって。僕の試合だけじゃなくても、別に見てもいいですし、メインに。第1試合からあるわけですから、どの試合でも、どこか刺さって欲しいなとは思っています。
ーーでも現状では、やはりデスマッチ・ストロングというところでの二枚看板に穴を開けるべく、今回はこのジュニアというのを三枚看板に持っていくための戦いなんですね。
そう思っていますね。何を言ってるだという人もいるかもしれないんですけど。そこは、ひっそりと挑戦したいところではあります。
ーー今回は登坂社長の大英断というのもあると思いますが、大日本の新しいムーブメントを作り出すためのきっかけになるかもしれないです。
ちょっとそういう、加速の最初じゃないですけど。そういうふうになってくれればいいなと思っていますね。
ーー大日本さんのパワーというのは、デスマッチ、ストロングヘビー、そしてジュニアヘビーの、この三本柱がやはり元気になってもらって。多くの人々に、元気を与えてもらいたいなと思います。特に大日本さんの場合は、YouTubeもそうですけど、デスマッチ含めてですけどやはり外国からのアクセスが多いと思うので。
多いですね。
ーーそこにジュニアも、うまく入りたいですね。
でも、やはり再生数が多いのは、デスマッチとヘビーの浜vs岡林そのへんですよね。
ーーわかりやすいというのはあるんですけど、ジュニアも非常に面白いなと思いますし、変身願望とかあったりしますか。
変身願望?
ーー例えば、マスクマンだったりペイントとか。
全くないですね。僕は感情をいろいろ伝えたいので、目の動き1個であっても、歯を食い縛る動きであったり。なんだろうな、顔を隠したくないんですよ、そういう意味では。
ーー確かに佐藤選手は感情や闘志が前面に出るファイターだから、そういうスタイルが評価されてるので、ファンの人たちはすごく応援してくれると思います。
嬉しいですね。
③パニック障害で欠場、今年1月復帰。病気を公表して治療を続けながらリングで闘う現在について
ーー今年の1月2日に復帰してパニック障害を公表した時の皆さんの反響はいかがでした。
自分が思ってた以上に温かかったというのと、多分レスラーでパニック障害になって、隠している人って山ほどいると思うんですよね。違う理由で欠場したり、公表する必要がないといったら必要ないかもしれないですし。隠してやっている人はいっぱいいると思うんですけども、その中で、最初はちょっと自分が楽になりたいという思いで公表したんですよ。というのも、もう隠し続けることができないなと思ったし、またこれで欠場になった時に何も言い訳ができない、次は辞めるしかないと思っていたので。そういう意味で公開しようとは思っていたんですけど。そしたら結構、実は私もそうなんですっていうお客さんからの声だったり。嬉しかったのは、佐藤選手を見ていて、地方の大会もちょっと電車に乗るのが苦手だけど、トライして行けましたとか。そういう声を結構いただけて、それは言ってよかったなって気がしますね。
ーー誰かにとってのメッセージになったり、ご自身が公表したことによって、他の誰かの希望に繋がってる部分もあると思います。
僕自身もなった時に、どんな人がなっているんだろうって、いろいろな有名人を調べたんですけど。ステージに立って輝いてる姿を見て、すごいって勇気づけられる人もいれば、こんな人も自分と同じ人間なんだみたいな。そういう弱いとこがあるんだというところに、僕は励まされるタイプだったんですね。だから、そういう意味で、自分が光り輝いてるとは言わないですけど、ああいうふうに人前に立つ人間として、私も弱いとこを持っているし。そういうところをオープンにすることで、ちょっとでも楽になれる人がいたらなって、自分はそれで楽になった部分があったので。もう助け合いですね。そんな感じでやっています。
ーーこれからもプロレスTODAYでは大応援しております。
ありがとうございます。
④欠場中の思い
ーーちなみに欠場している最中に、思っていたこととか、感じてたことはどんなことでした。
僕が欠場した時って、結構いろいろな団体に出させていただいてたので。全日本さんに出していただいたり、ZERO1さん、キャプチャーさんとか。当時の僕としては、結構いろいろなところに出られていて、ちょっとずつ右肩上がりの状態だったんですね。そんな中で、自分が欠場して、まず最初は、私が休んでも団体は回るなという寂しさ。
ーーなるほど。
あと、とにかく外に出られなかったので、自分がこうやって外に出られないで、布団の中にこもっている間もみんな戦い続けて、会社のことを頑張ってしてくれている。自分が布団の中にいるのが、どんどん駄目になってる気がして。休み方が本当にわからなくて。結構しんどかったですね。周りの人には、復帰したい前提で休んでいますとは言っていたんですけど。本当は辞めようと思ってましたね、正直。僕は復帰する1年前の2023年1月2日の入場式に出るって決めたんですけど、そこで無理だったらもう辞めようと思ったんです。まあ案の定無理で、途中で倒れてしまって、そのまま引きずり出されるという感じになってしまったんですけど。その時に、夜、全部撤収とか片付けが終わってから、同期のリングアナ熊川悠司が電話してきてくれて「今日お前があそこに立ったことで、どれだけの人が勇気をもらったか、とにかくすごいって。お前が戦ってるのは全員に伝わったから、辞めないでくれ」と言ってくれたのが結構残っていて。続ける理由の一つには、本人には言ってないんすけどね。
ーーちょっと今の話は泣けますね。
結構残ってるんですよね。あれは正直嬉しかったですね。
ーーやはり、人と人との繋がりというかね。見ている人は見てくれているし。
人って意外と優しいんだなと思えた欠場期間だったんですよ。人って優しいなと思いました。
ーーやはり1人じゃ生きていけないですからね。
そうですね。 改めてそう思いましたね。
ーーいろいろな人生がありますけど、その転換期というのが、もしかしたら今回の試合で。
僕の中では。
ーー訪れているのではないかなと思うので。
そう思いますね。
⑤タイトルを奪取してしたいことは?
ーーこの王座を奪取した暁に、やりたいこととかは何か考えていたりしますか。
多分、関札皓太が防衛した場合は、よそ見をしなきゃいけないと思うんですよ。要は、他団体であったり、今まで団体内で守ってきたものがあるので。それを背負っていろんなとこに行かなきゃいけないと思うんですけど。僕はちょっととりあえず、もう1回、大日本ジュニアで、団体内で引っ掻き回していきたいなという。
ーーさっきのような3本柱に育てていくという感じですか。
はい。その中の一つにしたいですね。
ーー今までの大日本ジュニアの皆さんが築いてきた歴史の延長線上に、今回のメインというところでの立ち位置がきっかけになりそうな気がします。
ですね。みんなリングに上がってほしいですね(笑)
ーー試合後、ジュニア選手が全員リングに上がって、メッセージを出してくれるっていう姿も見てみたい気もしますけどね。
佐藤・関札このシチュエーションだからメインでいいやって、全員が思っているのかわからないですけど。そこにもっと反発するジュニアの選手がいてもいいと思いますし。そういうので、潰し合うじゃないですけど、競い合っていくうちに、どんどん大きいものになっていくんじゃないかなと僕は思います。もっと元気よくいきましょうって感じですね。
ーー大日本ジュニアの中心に立つという、その意気込みというのは非常に感じました。
良かったです。
⑥大会へ向けてメッセージ
**
**
ーーこの団体の屋台骨になるという覚悟を非常に感じました。最後に大会に向けてのメッッセージをお願いいたします。
改めて、6月16日というのは、僕の中で、一つ大きい階段を自分で設定したところではあるんですね。今までは、会社が用意してきた階段をのうのうと登ってきたんですけど。守ってきてくれた会社をおんぶするつもりで、お客様も含めてです。僕を応援してくれてきたお客様をおんぶするつもりで、自分で設定した大きい階段をしっかり登り切って、「パニック障害なんぼのもんじゃい!」と、そういうので苦しんでる人たちの、一歩踏み出す勇気になればなと。ドアノブを一つ、手をかける勇気になればなと思っています。とにかく、今の私は関札皓太とのこの一戦で、後楽園ホールを満員にしたいと思っています。皆様のご来場お待ちしております。
ーーありがとうございました。
インタビュアー:山口義徳(プロレスTODAY総監督)
後楽園ホール大会
日時:2024年6月16日(日)10:30 開場11:30 開始
会場:東京・後楽園ホール
今大会はニコニコ生放送にて全試合PPV生配信される。
【全対戦カード】
▼メインイベント BJW認定ジュニアヘビー級選手権試合
30分1本勝負
<第10代王者>関札皓太 VS <挑戦者>佐藤孝亮
※初防衛戦
▼セミファイナル 6人タッグマッチ
30分1本勝負
青木優也 野村卓矢 阿部史典 VS 中津良太 中野貴人 神野聖人
▼第4試合 GO GOサマー 凶器持ち込みタッグデスマッチ
30分1本勝負
神谷英慶 伊東優作 VS 高橋匡哉 SAGAT
▼第3試合 タッグデスマッチ(形式未定)
20分1本勝負
宮本裕向 木髙イサミ VS 菊田一美 石川勇希
▼第2試合 タッグマッチ
20分1本勝負
中之上靖文 浜亮太 VS ジョーダン・マッカラン コナー・キング
▼オープニングタッグマッチ
15分1本勝負
梶トマト 橋本和樹 VS 吉田和正 ジェイコブ・クレイン
2022.5.5横浜武道館 関札皓太 vs 佐藤孝亮【ジュニアヘビー級選手権】