国際交流拠点へ再開発、小樽港第3号ふ頭 大型クルーズ船接岸可能に 市街地近く

小樽港「第3号ふ頭」に入港したクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス=4月21日、北海道小樽市(同市提供)

 北海道小樽市の小樽港で、国際交流の拠点化に向けた再開発が進んでいる。名所の小樽運河や中心市街地に近い「第3号ふ頭」は3月、10年の改修を終え大型クルーズ船が接岸可能になった。2024年は過去2番目に多い30隻超のクルーズ船が寄港予定。観光船ターミナルや緑地整備も計画され、市はかつて「北日本随一の経済都市」と呼ばれた港町の活性化を目指す。(共同通信=川村隆真)

 「新たな人の流れを生み出し、観光の拠点として大きく様変わりしていく。さらなるにぎわいの創出に取り組みたい」。4月21日、クルーズ船ダイヤモンド・プリンセスの入港に合わせた供用開始記念式典で、迫俊哉(はざま・としや)市長が意気込みを語った。

 これまで大型船は中心市街地付近の小樽運河から約2.5キロ離れた別の岸壁を使っていたが、旅客が市内を巡る際の利便性が課題だった。

 第3号ふ頭は運河から約300メートルに位置し、国と市は2014年度以降、計約104億円をかけて改良。長さ約360メートルだった岸壁を約400メートルに延ばすなどし、14万トン級の船に対応できるようにした。市の担当者は「徒歩で観光地に行けるので町がにぎわう」と期待する。

 周辺では2025年度、点在していた運河クルーズや海上観光船などの発着場を集約したターミナルや、憩いの場となる緑地も完成する予定だ。

 小樽港は明治以降、道内への物資の中継地となったほか、石炭の積み出し港、ニシン漁の拠点としても栄えた。戦後はエネルギー政策の転換による石炭需要の低下などで貨物が減少。銀行や貿易会社の撤退が相次いだ。

 近年はロシアへの中古車輸出が盛んで2008年には約36万トンを取り扱ったが、ウクライナ侵攻の影響もあって昨年は約7万トンにとどまるなど落ち込みが目立つ。

 小樽観光協会の逸見繁男(へんみ・しげお)事務局長は再開発を「第一歩だ」と評価。「市民もゆっくりできる場所にしたい。これから変わっていく港を見てほしい」と語った。

小樽港「第3号ふ頭」の供用開始記念式典=4月21日、北海道小樽市(同市提供)

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