森保J主将・遠藤航が「OA枠」でU23代表にフィットするか、パリ五輪でメダルはあるか

遠藤航(C)Norio ROKUKAWA / Office La Starada

サッカーの日本代表(FIFAランキング18位)は11日、北中米W杯アジア2次予選の最終節(第6戦)のシリア(同89位)戦を広島の新スタジアム「エディオンピースウイング広島」で行い、5-0で完勝。2次予選B組を史上初の6戦全勝&無失点(得失点差プラス24)で1位通過し、9月スタートの最終予選に弾みをつけた。

この日の基本布陣は6日のミャンマー戦と同じ3バック。6日はベンチスタートだったMF遠藤航(31=リバプール)、DFの板倉滉(27=ボルシアMG)と冨安健洋(25=アーセナル)、FW上田綺世(25=フェイエノールト)ら主軸組、別メニュー調整が続いていたFW久保建英(25=Rソシエダ-ド)もスタメン出場。右サイドから何度もチャンスメークし、完全復調をアピールした。

「すでに2次予選通過を決めている森保日本代表にとって、消化試合のシリア戦の見どころに<パリ五輪の年齢制限のないオーバーエージ(OA)枠に選出決定と報じられているMF遠藤、選出の可能性もあるといわれているDF板倉のパフォーマンスはどうだったか?>があった」と、元サッカーダイジェスト編集長の六川亨氏がこう続ける。

「遠藤はシリア戦で主戦場のボランチの位置から強度の高いプレーで勝利の立役者となった。五輪代表に加わった場合、五輪代表主将のMF藤田譲瑠チマ(22)とダブルボランチとしてコンビを組めば、強力になる。遠藤が欧州でもトップクラスのデュエル力(球際での争い、コボレ球の奪い合いなどの意)を駆使してボールを奪い、攻撃の展開力に優れた藤田にボールを預けてチャンスメーク──といった流れは、大岩剛監督率いる五輪代表にとって大きなプラス材料です」

遠藤は4バックの真ん中のCBでも、3バックの場合は真ん中と右でもプレーできるのも魅力のひとつ。さらに「五輪の強行日程対策にもなる」とは前出の六川氏。

「五輪サッカーは1次リーグ3試合と準々決勝まで<中2日>の強行軍です。たとえば1人ボランチの布陣の場合、遠藤と藤田チマとを交互に使うターンオーバー制を敷けば、遠藤と藤田チマの消耗を極力少なくすることができる。準決勝、3位決定戦、決勝に向けて遠藤、藤田チマがフィジカルコンディションを落とさないで大会日程をこなすことができれば、悲願のメダル獲得に向けて大きなアドバンテージになるでしょう」

1968年のメキシコ五輪以来となるメダル獲得のチャンス

そもそも歴代の五輪OA枠は、守備系選手によって、その多くを占められている。2000年シドニー五輪はGK楢崎正剛とDF森岡隆三、04年アテネ五輪はGK曽ケ端準、12年ロンドン五輪はDFの吉田麻也と徳永悠平、16年リオ五輪はDFの藤春広輝と塩谷司、21年東京五輪にはDFの吉田麻也と酒井宏樹、主戦場の守備的MF以外にCBもこなせる遠藤の3人。こうした守備系選手が、23歳以下の五輪代表で助っ人としてプレーしているのだ。

「23歳以下の守備系の選手は、国際経験が少なくて所属のJクラブでもサブに甘んじていることが多い。だから歴代の五輪監督は、OA枠に守備系の選手を多く選ぶ傾向がある。遠藤以外にDF板倉のOA枠選出という情報も流れているが、A代表とドイツ1部で経験を積み、シリア戦でも3バックの真ん中で安定感あふれるプレーを披露した板倉が加われば、大岩ジャパンのチーム力はかなりアップする。1968年のメキシコ五輪以来となるメダル獲得のチャンスです」(六川氏)

米国遠征中の五輪代表は、パリ五輪出場メンバー発表前の最後のテストマッチとして、日本時間きょう12日午前9時5分キックオフで米国と戦う。パリ行きのメンバー発表は7月3日である。

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