「資生堂レディス」に向けてキャディ研修に参加 選手の気持ちを伝えてきました【原田香里のゴルフ未来会議】

国内女子ツアーの「資生堂レディスオープン」に向けて帯同キャディ講習会が行われた(提供:清流舎)

ゴルフを愛するみなさん、こんにちは、原田香里です。

今回お話するのは、トーナメントを前に行われたキャディ研修についてです。私がお声かけいただいたのは国内女子ツアーの「資生堂レディスオープン」(6月27~30日、神奈川・戸塚CC西C)に向けての帯同キャディ業務講習会。ツアーで選手をサポートしているプロキャディさんたちの団体、日本プロキャディ協会代表理事の森本真佑さんと一緒に講師という立場で参加しました。

みなさんもご覧になったことがあるかと思いますが、ツアーでは一人の選手に一人のキャディさんがついています。森本さんたちのようなプロキャディと契約したり、家族や友人、プロ仲間などにバッグを担いでもらったりするのがいわゆる帯同キャディ。それ以外に今回、戸塚CCでご参加いただいた方たちのように開催コースのハウスキャディさんや、アルバイトの方なども含めて、大会側が用意するキャディさんにお願いすることもあるのが日本の現状です。

日頃、メンバーさんを中心に一般ゴルファーの方についているハウスキャディさんは、地形や水の流れ、天候や風向きなど、コースのことはとてもよくご存知です。一方で、何度もツアーで選手をサポートした経験がなければ、高いレベルで1打を争うプロの心情などについてはよくわからないということもあります。

そんな事情も踏まえて、今回は私と森本さんが、プロが最高のパフォーマンスをするサポートをしていただけるように、事前にお話ししたというわけです。

今も毎週、キャディとしてお仕事をされている森本さんは、現在の選手たちの様子やキャディとして気を付けるべきことを、私は選手の立場からその気持ち、キャディさんにお願いしたいことなどの基本をレクチャーしました。

まずは座学。ティーイングエリア、バンカー、グリーンなど様々な場所での立ち居振るまいなどをお話しして質疑応答です。一番、私が伝えたかったのは「試合中の選手は、できるだけ気持ちを平らにしていたいんです。心がざわつかないように、キャディさんが緊張してもそれを表に出さないようにしてください。難しいと思いますが、キャディさんはコース内では唯一の選手の仲間。タッグを組んで戦う気持ちでお願いします」ということでした。

しかしながらキャディさんたちも真剣です。自分の一言がスコアに大きくかかわると思うとなかなか声を出しにくい…。どのように伝えたらよいですか? など、質疑応答は時間が足りないくらいでした。

実際にコースに出ての研修も数ホールプレーをしながら行いました。ここではカートの停め方やその位置、キャディさんの立ち位置、雨のときのふるまい方などをやってみて、感じていただいたのです。

大会事務局長、大会実行委員長も出席してくださっての研修からは、主催者、戸塚CCさんの大会に対する熱意がひしひしと伝わって来ました。

トーナメント開催の裏側は、みなさんが思っている以上に大変です。開催コースさんは、試合中だけでなくその前後、一般営業とは違うご苦労を強いられます。試合前はもちろん、多くのひとがプレーし、ギャラリーが入ったあとのコースのメンテナンス。臨時の建築物などの設営、撤去…。

一般営業とは違う苦労がたくさんあるのですが、それでも「試合に向けて準備をすることでコースもきれいになるし、スタッフの勉強にもなって仕事への意識が上がる」とおっしゃって下さるコースさんが多いのはうれしい限りです。

今回、その裏方さんとして選手をサポートしてくださるキャディさんたちに対して私たちがお話したことが、少しでも試合を盛り上げるお役に立てたらいいな、と思います。資生堂レディスに限ったことではありませんが、みなさんもそんなことを考えながら選手とキャディさんを見ると、また違ったトーナメントへの興味がわいてくるかもしれませんよ。

■原田香里(はらだ・かおり)
1966年10月27日生まれ、山口県出身。名門・日大ゴルフ部で腕を磨き1989年のプロテストに合格。92年の「ミズノオープンレディスゴルフトーナメント」でツアー初優勝。93年には「日本女子プロゴルフ選手権大会」、「JLPGA明治乳業カップ年度最優秀女子プロ決定戦」勝利で公式戦2冠を達成。通算7勝。その後は日本女子プロゴルフ協会の運営に尽力し21年3月まで理事を務めた。

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