電気代の節約に?…部屋の「ものを減らす」ことで得られる“意外な効果”【生前整理・遺品整理のプロが解説】

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「片付けなければ」と考えながらも、なかなか手が進まない人は多いのではないでしょうか。部屋を片付けないままもしものことがあったら、家族は大変困ることになります。生前整理・遺品整理アドバイザーで、一般社団法人日本遺品整理協会理事でもある上東丙唆祥氏の著書『人生最後の片づけ・整理を始める本』(メディア・パル)より、一部を抜粋して紹介する本連載。上東氏が、自分のため、家族のために行うべき、人生の後半に後悔しない片づけ・整理の方法を解説します。

ものを減らせば、冷房・暖房のコストが下がる

ものを減らすと、思いもよらないメリットが生まれます。それは、昨今、みなさんが気にしている電気代を節約できることです。

ものが劣化・腐敗すると熱が発生することはご存じでしょうか。たとえば、家電や木、スチール製品などは経年劣化で熱を持ちます。また、飲みきっていないペットボトルは部屋に放置されていると、気温上昇に伴い、中の液体の温度も上がっていきます。

その結果、夏場では夜になっても室温が下がらず、熱中症のリスクが高まります。冬の場合はものが冷気を吸い込んで冷えることで、室内が寒くなります。

また、ものがあると室温が変化するだけでなく、エアコンの空気の通り道を遮ってしまい、冷房・暖房効率が下がります。暖房の設定温度を1℃上げるだけで電力消費量は約10%増え、冷房の場合は1℃下げると、約13%も電力消費量は増えると見込まれています。

電力消費量が10%変われば、電気代を節約できます。空気の通り道を確保するために、大きい棚を処分すれば、新しいものを置ける場所がなくなり、ムダなものを買わずにすみます。さらに節約が見込まれるでしょう。

ものを処分することが、室温の維持と、電気代の節約につながります。なにより、風通りがよく、室温が快適ならば、家に来た知人はきっと喜んでくれます。

第三者が家に入る可能性を考えておく

自分の家の中や部屋をどのようにしつらえようが、その人の自由です。しかし、家族と住んでいても、ひとりで暮らしていても、急な入院の際には、だれかに頼んで身の回りのものを病院に持ってきてもらうことになります。

高齢になってひとりで暮らしていて、担当のケアマネージャーがいる場合は、生存確認や困りごとの対応、通院時の付き添いをしてくれることもあります。入院する際は、必要な荷物を取りに行ってくれるかもしれません。

いずれにせよ、このときほど片づけ・整理の大切さを感じることはないでしょう。洗面道具は洗面所に、下着類はタンスになど、ものがセオリーどおりにきちんと収納されているなら、他人でもすぐに探しあてることができます。

ところが、散らかっていたりものが多すぎたりすると、本人以外は保管場所がわからず、買うはめになったり、愛用品を見つけられなかったりします。部屋が整頓されていれば、荷物を取りに行った家族、ケアマネージャーは助かります。それだけでなく、「私の家も片づけよう」となるかもしれません。

あなたが元気でなくなったとき、気持ちよく手助けしてもらえるように、整頓された部屋を維持しましょう。そのためにも、下の表にあるものは、すぐ見つけられる場所に片付けておきましょう。

上東 丙唆祥

生前整理・遺品整理アドバイザー

一般社団法人日本遺品整理協会理事

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