【全文翻訳】ケンドリック・ラマーが地元大学の卒業式に登場。彼がスピーチで語ったこと

Kendrick Lamar - Photo: Joseph Okpako/WireImage

ドレイク(Drake)とのビーフの応酬の中で生まれた楽曲「Not Like Us」がディス曲ながらストリーミングヒットとなり、全米シングルチャートで1位となるまでの成功となったケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)。

そんな彼が、2024年6月7日にケンドリックの地元であるカリフォルニア州コンプトンのコミュニティ・カレッジ、コンプトン大学(Compton College)の卒業式にサプライズで登場し、卒業式にスピーチを行った。その全文を公開。訳はライター/翻訳者の池城美菜子さん。

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イヤー イヤー イヤー イヤー イヤー イヤー
どうもコンプトンのみんな、調子はどうかな、みんな、元気?
見ての通りだよね そうだ、みんなすごく調子良さそうだ
今日は特別だから ちょっと携帯出すから 待ってて ちょっと待って
自分の分の‥あまり待たせるのは悪いけど でもこれは記録しなくちゃ ちょっと待って

まじでさ、どれくらい君たちをありがたく思っているか伝えたくて、ここに来たんだ
君たちが誇りだし、コンプトン市とコンプトン大学を誇りに思う
そして何よりもここの卒業生を誇りに思うよ
本当にすごく大変だったはず
君たちはみんなすごく苦労したよね
家庭でも大変だったろうし、育った地域でも苦労したはずだ
もっともデカいのは自分の内面での葛藤だ
それを克服するのが一番大変だから
俺たちはいまでも少しずつ成長している レンガを積み立てるように
体の面だけではなく、精神的な成長も自覚しながらね

つまり、ここで会ったみんなは
この世界を代表するだけでなく、俺自身の存在の代表でもあるんだ
あちこちの都市や国々に出向いたとき
誇りを持って「俺の出身地はここです」って言えるからね

俺はずっとコンプトンを信じている
自分にとってはコンプトンいつだって未来だ
すばらしい人材の宝庫だよ
クリエーター、知識人、才能豊かな人たち
昔からそういう人たちがいたから
俺はいつもこの街の名前を大声で言う

世界中を旅したけど、こんなにすばらしい場所はない
どこにもない、どこにもね
だから俺はずっと信じているんだ 俺たちがやることすべて
レンガをひとつずつ積み重ねるように、いまこそ評判を書き換える時だって

「Z世代は根性がない」とか言う人がいるよね
そんな話ばかりしている
彼らは俺たちの足を引っ張って
俺たちは何をしているのか分かっていないとまで言う
でも、それってまちがいだよ
だってさ、君たちは芯だけでなく、もっと大きなものを持っているから
君たちには広い心があり、独立した考えを持つ勇気もある
自分の頭で考えられる人々。それ以上に価値のあるものなんてない

みんなここを卒業したら自分の考えを語り、表現するはずだ
それも確信と信念、情熱を持ってね 堂々とね
わきに引っ張って「あれはまちがいだよ」と言ってくる人はいる
君は 「ご意見ありがとう」ってやり過ごすかもしれない
「自分のメッセージに確信を持って、深く、
強い信念を持つための知恵と勇気を与えてくれてありがとう」と言われるかもしれない
そのやりとりは話している当人同士だけでなく、
潜在的により年下の子供たちにも広がっていく
そういうことが、俺にとってはありがたいんだ

今日、君たちがここで得たこの学位は、どんな学位にも劣らない
どこの学校だろうと、どこの教育機関だろうと関係ないんだ
コンプトン・カレッジ、このコンプトンで取った学位は等しく偉大だ

この先は、その学位とここで学んだことを活かしていくだけだ
シンプルだよね、活かしていけばいい
ここまで辿りついたのと同じくらいの苦労や辛苦もあるとは思う
でも 知ってる? 君たちの行く先々に特別な人が支えてくれる
神様がね それに尽きる

歩みを進めて転んでも、たとえ欠点があっても
主はすぐそこにいるから
君が勝利を手にしたときも、主はそばにいる
自分を慈しんで、時間をかけて成長して そのことに感謝するんだ
神様も一緒に成長しているから
ここにいる一人ひとりが 人としての人生を経験していて
それを神様も共にいる
君がさまざまな経験するときも、神様も共にいる
神様は君のすぐそばにいる
そこで君に語りかけている
君は返事をすればいいだけ
俺は毎日海辺を歩きながら、神様と話しているよ
地元の友だちと話すみたいにね
神様とおばあちゃんのお墓に誓って言うけど本当だ
俺は隣りにいる神様と会話する
一緒に育った地元の仲間みたいにね
別に悪口を言ったり罵ったりしてもいいよ
生まれたときから彼を知っているように話せばいい
彼も君を知っているようにね
これが真実 真実なんだよ

みんなには卒業して一緒にお祝いして楽しんでほしい
ただその精神を自分の中に持ち続けてほしいんだ
ここから先 その精神は止まらないから
持ち続けていられる
みんなを愛しているよ この愛を広げ続けていこう
みんな、ありがとう 愛を込めて

Translated by 池城 美菜子

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