YouTube広告アワード、2024年グランプリは「漫画愛」 高い効果を出す秘訣とは

グーグルは6月11日、「YouTube」で高い効果を獲得した動画広告を表彰する「YouTube Works Awards Japan 2024」の受賞者を発表した。

ファイナリストの中から、それぞれの部門賞とGrand Prix(グランプリ)を発表。グランプリにはABJの「ありがとう、君の漫画愛。」が輝いた。

7部門で実施した「YouTube Works Awards Japan 2024」

YouTube Works Awardsは、2017年に英国で開始。以降は世界各国で開催し、広告界・YouTubeを代表するマーケターやクリエイターが審査員を務めている。

日本では2021年度から開始。4回目となったYouTube Works Awards Japan 2024では、2023年10月18日から2024年2月20日まで応募を受け付けていた。

対象部門は「Creative Effectiveness」「Action Driver」「Best Sales Lift」「Best Brand Lift」「Best Shorts Ads」「Breakthrough Advertiser」「Force for Good」の7部門で、TBWA HAKUHODO チーフ・クリエイティブ・オフィサーの細田高広氏、くれいじーまぐねっと YouTubeクリエイターのUraNさんの2人の審査員長のほか、計12人が審査員を務めた。

グランプリに輝いた「ありがとう、君の漫画愛。」は、多様化する生活者のインサイトを捉え、YouTube広告を活用して視聴者の共感や議論を生み出すことでビジネス目標を達成したキャンペーンを対象とした「Creative Effectiveness」部門の選出作品だ。

細田氏は、「“これをするな”というのが普通のマナー広告のなかで、ありがとう。この善意の輪は徐々に広がり、ファンの胸に届き、ファンたちがもう1度、素晴らしい取り組みであると広げる。まさに自走していくような、愛に包まれたクリエイティブだった」と選出理由を語り、通常はネガティブになってしまうメッセージをポジティブな意図に変えたところをたたえた。

7部門と各受賞キャンペーンは以下の通り。

「Creative Effectiveness部門」

  • 対象:多様化する生活者インサイトを的確にとらえ、視聴者の共感や議論を生み出すことによってビジネス目標を達成したキャンペーン
  • 受賞キャンペーン名:ありがとう、君の漫画愛。
  • 広告主:ABJ
  • 広告会社:博報堂

「ACTION DRIVER部門」

  • 対象:生活者の意思決定を後押することで行動を促すことに成功し、ビジネス目標を達成したキャンペーン
  • 受賞キャンペーン名:爆アゲセレクション
  • 広告主:NTTドコモ
  • 広告会社:サイバーエージェント

「BEST BRAND LIFT部門」

  • 対象:ブランドや商品の認知・比較検討・検索数や好意度などのブランドリフトに貢献したキャンペーン
  • 受賞キャンペーン名:ホントにあった#俺たちのモンストーリー
  • 広告主:MIXI
  • 広告会社:博報堂/TBWA HAKUHODO

「BEST SALES LIFT部門」

  • 対象:オンライン・オフライン問わず売り上げ拡大というビジネス目標達成に貢献したキャンペーン
  • 受賞キャンペーン名:味覚・三角関係ラブストーリー「麺ジャラス・ラブ」
  • 広告主:日清食品冷凍
  • 広告会社:ADKマーケティング・ソリューションズ

「BEST SHORTS ADS部門」

  • 対象:YouTubeショートの特性やトレンド、視聴者インサイトを理解し、YouTubeショート広告の機能を生かしたクリエイティブで、高いマーケティング効果を獲得したキャンペーン
  • 受賞キャンペーン名:ガチ中華クリエイターCM
  • 広告主:サントリーホールディングス
  • 広告会社:TBWA HAKUHODO

「BREAKTHROUGH ADVERTISER部門」

  • 対象:蓄積された実績がない中でも果敢に挑戦し、2023年に戦略的にYouTube広告の活用を開始して、優れたビジネス目標を達成した企業、ブランドおよび団体
  • 受賞キャンペーン名:どうせスキップできない広告ならペンギンの話
  • 広告主:オリックス不動産
  • 広告会社:電通

「FORCE FOR GOOD部門」

  • 対象:生活者との対話を深める・コアファンへブランドメッセージを届けるなど、収益やビジネスインパクトを超えて、自社のブランドパーパスを表現し、社会的意義のあるコミュニケーションを展開したキャンペーン
  • 受賞キャンペーン名:ランドセル選びドキュメンタリー
  • 広告主:セイバン
  • 広告会社:電通

「楽しむために集まっている」ことを念頭に

細田氏は、「YouTubeは非常に便利な広告の場で、マーケターの皆さんは結果を出すために知恵を絞っている。しかし、YouTubeは何よりもユーザーの場所で、広告の場である以前に誰もが集まれる広場であるべき。彼らは楽しむために集まっているという当たり前を、私たちは忘れてはいけない。結果を出すというところだけを突き詰めて、騙す、邪魔する、何かの弱みにつけ込むなどで結果を出すことは本質的でなく避けるべき」と話す。

また、そのためのクリエイティブ作成のヒントも紹介。能動的に視聴されるというYouTubeの特性から、「スキ!をつくるか。スキップされるか」が大事になるという。制作側が見せたいものを視聴者にとって見たいもの、さらにはその最上級となるやりたい、参加したいといった思いに変える「みせたい<みたい<やってみたい」、単なる動画ではなく動画へのコメントやシェアされた先で新たな会話や気付きが発生する「動画から、動力へ」の3つをアドバイスした。

広告で進むAI活用

グーグル YouTube日本代表 マネジングディレクターの仲條亮子氏は、「マーケティングにおけるAI活用が注目を集めているが、YouTubeでも『Google AI』を活用した広告プロダクトの利用が急速に広がっている。今回のファイナリスト50作品のうち、実に半数の25作品がGoogle AIを活用していた。さまざまな動画の広告フォーマットを組み合わせて多くのユーザーに効率的にリーチできるよう配信を最適化する『動画リーチキャンペーン』など、Google AIで広告効率も効果も高めるチャレンジが広がっている」と話した。

「YouTube Works Awards Japan 2025」の詳細は、10月に発表される予定だ。

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