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エーザイは医薬品の研究開発・製造・販売を行う総合製薬企業です。チョコラBBシリーズなどの身近な一般用医薬品から認知症治療薬のアリセプトなどの医療用医薬品までを幅広く取り扱っています。
同社は「人を大切にする経営」を掲げ、社員一人ひとりが生き生きと働ける環境づくりに注力。また、「すべての社員に就業時間の1%を患者様とともに過ごすことを推奨しています」という企業理念、つまりパーパス(存在意義)のもと、患者の立場に立った製品開発を心がけています。
エーザイの働きやすい環境づくり
エーザイは社員の健康と多様な働き方を支援するため、さまざまな施策を講じています。有給休暇の平均取得日数(※、2022年度)13.3日、月間残業時間は約14時間(2022年度)と、働きやすい環境が整備されています。
※管理職を除く一般社員一人あたり
健康経営にも積極的に取り組み、社員の健康維持・増進を後押し。多様な休暇制度が用意されており、つわり休暇や妊婦通院休暇、配偶者海外赴任帯同休職など、さまざまな環境変化に対応しながら仕事ができます。
またドナー休暇という、社員が骨髄バンクのドナーとなる場合に使用できる製薬会社らしい休暇制度もあります。病気の治療や介護と仕事の両立を支援する制度も整備され、社員一人ひとりのニーズに配慮しているのです。
エーザイは「ワークライフバランス」を超えた「ワークライフベスト」の実現を目指しています。在宅勤務の推進やフレックスタイム制度など、柔軟な働き方を可能にする施策を導入しており、社員が自身のベストな働き方を選択できる環境を整えているのです。
オフィス改修により、働く環境や場所を選択できるアクティビティベースドワーキングの導入や、米国子会社でのハイブリッドワーク対応オフィスの開設など、時代に合わせた働き方改革にも取り組んでいます。
エーザイの社員一人ひとりが参画するhhc活動とは?
エーザイでは、500以上のテーマで活動する「hhc活動」が行われており、社員一人ひとりが自主的に参画しています。hhcとはヒューマン・ヘルスケアの意で、この活動は患者の立場に立った製品開発や、社内の課題解決、地域貢献活動など、さまざまな分野で展開されています。具体的には、「がん患者様をもっと知ろう」と題する活動では、患者との座談会を重ね、副作用による苦しみを理解する取り組みが行われています。
hhc活動での気付きや学びは業務に還流されています。「めざすのは、自分が飲みたい薬」と社員自身が患者の立場に立って薬を開発する視点を養うことにつながっているのです。hhc活動は社員の自主性に任されていますが、活動発表の場や優れた活動を表彰することでモチベーション向上にも寄与しているといえるでしょう。
同社は人材育成にも注力しており、階層別研修や自己啓発支援制度、社内公募制度などを通じて、社員一人ひとりの成長を後押ししています。特に「学び方改革」と呼ばれる取り組みでは、社員自らが学びたいことを設定し、社外の人々とも学び合う機会が設けられています。
その他にも、社員のキャリア形成を支援する「EKKYO(社内インターンシップ)」、治療と仕事の両立を支援する制度など、社員一人ひとりのモチベーションアップとやりがいの向上につながる多様な施策があります。エーザイの社員一人あたり研修費は17万円(2022年度)と、平均(約3万円)※の5倍以上。いかに人材に投資しているかが分かる数字といえます。
※出所:産労総合研究所「2023年度 教育研修費用の実態調査」
エーザイの仕事のやりがいは? 治療と仕事の両立も可能
エーザイでは研究職、製造職、営業職、事務職など、多岐にわたる職種があります。社員たちは「患者さんのために貢献できる」「最先端の研究に携われる」といった点でやりがいを感じています。また、同社は女性の活躍推進にも注力しており、グループの女性管理職比率は20%を超えています(2021年3月末時点で28%)。
また、エーザイはがんや不妊治療などで長期療養が必要な社員をサポートするために休暇制度を充実させており、治療と仕事の両立を支援しています。これにより、社員は安心して働ける環境が整っているのです。
さらに、エーザイでは、社員が自らの意思で他部署への異動を希望できる「ジョブチャレンジ制度(社内公募)」を推進しています。この制度は、社員がキャリアオーナーシップ(個々人が自身のキャリア形成に自律性と責任を持つこと)を構築し、自己実現を果たすための手段として活用されています。
2016年の開始以来、2022年度までに20人以上の社員が制度を利用し、新たなキャリアに挑戦しています。この制度を通じて、社員は自らのスキルや興味関心に基づいて異動を希望でき、キャリア志向に基づく人材配置の実現が強化されているのです。
また、女性活躍推進に優れた上場企業として、経済産業省と東京証券取引所より2023年度「なでしこ銘柄」に選定されました。なでしこ銘柄は、女性活躍推進に優れた上場企業を「中長期の企業価値向上」を重視する投資家に対して魅力ある銘柄として紹介することで、企業への投資を促進し、女性活躍推進の取り組みや情報開示の加速化を図ることを目的としています。2012年度より経済産業省と東京証券取引所が共同で実施しています。
待遇面での手厚いサポート、初任給にも注目が集まる
エーザイの初任給は業界トップクラスで高額です。大卒で月給38万900円~、博士は43万6800円と手厚い初任給水準となっています。年収についても平均年齢43.6歳で約1050万円と製薬業界でトップクラスの高水準です(2023年3月末時点)。
福利厚生面でも手厚く、確定給付年金と確定拠出年金の二本立ての退職金制度を有しています。その他にも、リロクラブのサービス「福利厚生倶楽部」と契約しており、宿泊施設の割引や各種レクリエーション施設の利用補助など、さまざまな福利厚生メニューを利用できます。
人材への投資で企業価値を高める
エーザイは人材への投資を重視する経営を行っており、その成果は中長期的に企業価値を高めていくと期待されます。アルツハイマー治療薬の開発にも関心が寄せられており、人材への投資が同社の持続的な成長を支えていくことと注目されています。
山下 耕太郎/金融ライター/証券外務員1種
一橋大学経済学部卒業後、証券会社でマーケットアナリスト・先物ディーラーを経て個人投資家・金融ライターに転身。投資歴20年以上。現在は金融ライターをしながら、現物株・先物・FX・CFDなど幅広い商品で運用を行う。ツイッター@yanta2011