インタビュー:AI需要がメモリー試験装置事業を押し上げ=アドバンテストCEO

Sam Nussey

[東京 12日 ロイター] - アドバンテストのダグラス・ラフィーバ最高経営責任者(CEO)は12日、ロイターとのインタビューで、人工知能(AI)に使われる広帯域メモリー(HBM)の需要増が同社のメモリー試験装置事業を押し上げていると述べた。

HBMはチップを積層化することで高性能、省電力を実現したメモリーで、大量のデータを高速で処理する必要があるAIに多く使われる。

ラフィーバCEOによると、HBM向けのテスターはアドバンテストのメモリー試験装置事業の売上高の約5割を占めている。4月に就任した同CEOは、「近い将来もこの状態が続くとみている」と述べた。2013年にHBMが登場して以来、同社はHBM向けの試験装置に力を入れており、メモリーメーカーとの間で築いてきた関係をうまく活用しているという。

同社のメモリー試験装置の市場シェアは2024年3月期に拡大しており、25年3月期は同事業の売上高が47%増加するとみている。AIの普及が半導体の性能向上を促し、部品は複雑化、性能のチェックには大規模なテストが必要になっている。 ラフィーバCEOは、「クラウドやデータセンターがビジネスをけん引するだろう。そしてエッジアプリケーションが登場したとき、本当の意味でエンジンの過給機になるだろう」と述べた。

エッジAIはデータセンターで集中的に情報を処理するのではなく、それぞれの端末上でAI処理を実行すること。スマートフォン、タブレット、パソコンの需要が低迷しているエレクトロニクス業界には、AIの進化が端末の買い換え需要を喚起するとの期待がある。 ラフィーバ氏は「こうした新しいデバイスは複雑で、登場すればテストがさらに必要になってくる」と述べた。

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