怒るとすぐに手や足が出る子の対応方法は?サポートの例をご紹介!【発達障害の専門家が教える 保育で役立つ気になる子のサポートBOOK】

怒るとすぐに手や足が出る

何か嫌なことや気に入らないことがあると、怒りが爆発。反射的に手や足を出して抵抗したり、相手の体にかみ付いたりしてしまいます。

例えば、こんな状況

別の子が遊んでいるおもちゃを、黙って使ったFくん。「だめ!」と抵抗されると、怒ってその子の腕を強くたたいたので、保育者が慌てて止めました。

あなたならどうする?

1.「なんでたたくの!?」ととがめる

2.「貸して」「いいよ」の練習を促す

【解説】おすすめは2!

手や足が出てしまう背景には「怒り」があることが多いもの。危険な行動はその場でストップをかける必要がありますが、状況が落ち着いてから、言葉で伝えられるようアシストしていきたいところです。「なんで〇〇するの!?」という言葉は、叱責の意味合いだけが強くなりがちなので注意しましょう。

考えられる背景

「だって、このおもちゃで遊びたかったんだよ」

「これで遊びたい!」という自分の欲求に従って行動してしまい、言葉でのコミュニケーションが未熟なためトラブルになっています。

こんな声かけ&サポートをしてみよう!

まずは保育者と「やりとりの言葉」を練習

やりとりに必要な言葉を、まだ獲得できていないと考えられます。まずは「貸して」「いいよ」という言葉を確認し、保育者と一緒に練習を。その後、子ども同士のやりとりを積極的に促し、見守りましょう。

「〇回やったら交代しよう」というように、数を入れた約束をするのも効果的です。ものの貸し借りに関するルールを、経験の中で少しずつ覚えていけるはずです。

考えられる背景

「嫌な気持ちになると、カッとなっちゃうんだ」

「思い通りにならないこと」への経験がまだ少なく、我慢が利かないため、結果的に手や足が出てしまう状態であるとも考えられます。

こんな声かけ&サポートをしてみよう!

適切な行動ができたら、しっかりと褒める

その子がやりたいことにすぐ取り組めずイライラしていたり、好きなおもちゃをほかの人に使われたりしたら、「待っていてね」「順番だよ」といった、自己抑制を促す言葉を積極的にかけていきましょう。

できなかったときに叱るというよりも、うまくできた(例:しっかり待てた、相手におもちゃを譲れた)ときに「さすがお兄さんだね!」などと褒めることを意識しましょう。

ほかにもたくさん!サポート声かけ例

・一緒に遊ぼう

・はんぶんこだよ

・後でね

・頑張っているね

・すごいよ

【出典】『発達障害の専門家が教える 保育で役立つ気になる子のサポートBOOK』著:湯汲英史

【書籍情報】
『発達障害の専門家が教える 保育で役立つ気になる子のサポートBOOK』
著:湯汲英史

幼稚園や保育園で言葉や行動や少し「気になる子」はいませんか?落ち着きがない、ずっとボーっとしている、「わからない」が多く、会話が成り立たない、すぐウソをつく、他の子や保育者をベタベタ触る……など。そのような気になる行動や言葉を発する子どもたちのサポート法を多数の声かけ例とともに丁寧に解説。また、「気になる子」の周りの子どもたちにも焦点をあて、周りの子どもたちや親御さんへのフォローや対応策のほかにクラス全体が過ごしやすくなる環境づくりのアイデアを提案します。そのほか、園でのスムーズな連携の仕方や有効的な記録の取り方など、今すぐ実践したい保育で役立つ情報を豊富に収録。保育学生さんや新米保育士さんだけでなく、改めて「気になる子」のサポートについて考えたいベテラン保育士さんなど多くの方にぜひ手に取っていただきたい一冊です。

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