米も海苔も値上がり・・・国民食「おにぎり」がピンチ コメ余りの時代が一変か

食卓に欠かせないお米。今、品不足や在庫切れが発生し価格も高騰しています。

去年の猛暑やインバウンド需要の復活、輸入品価格の上昇など様々な要因によるものですが、果たして「コメ余り」といわれた時代は終焉をむかえるのでしょうか。

「この値段で出せませんか」相次ぐ問い合わせ

福岡県北九州市で米の販売店を営む梶谷登さん。最近、これまで取引のなかった新規の問い合わせが相次いでいるといいます。

梶谷米穀店 梶谷登さん
「これくらいの価格で、米がないですかという問い合わせが多い。業務用飲食店関係から、この値段で出せませんか?と。うちもこれまでの自分のお客さんを守るので精いっぱいで、そのぐらいの米の価格はちょっと無理ですねとおこたえしています」

在庫が尽きた銘柄も

取り扱っているのは国産ブランド米をはじめ、福岡県産の米など約20種類。

今、販売しているのは去年、生産された米です。

通常、常米は、産地で生産量を調整し秋の新米の時期まで在庫が残るようにしています。

しかし、今年は5月に在庫が尽きてしまいすでに販売を終了した銘柄が出ているといいます。

梶谷米穀店 梶谷登さん
「通年だったら、7月か8月まで米を切らさないで秋の新米の時期までもっているんですが、今年は『需要が多くて販売を終了します』『今年はありませんよ』と知り合いの仕入れ業者から言われます。新潟とか山形とか、『引き合いが多くても出せるものがありません』と」

小売価格も上昇

福岡県北九州市のスーパーで販売される米5キロの平均価格をみると、おととし8月は1797円でしたが、今年4月は2140円。約2割、343円値上がりしています。

梶谷米穀店 梶谷登さん
「いろんな要因が複合的にありますが、作況指数以上に収穫できなかった。高温や水不足によってお米がとれなかった。そのほか、インバウンドやコロナ明けで飲食需要がかなり高まったこともあると思います。」

猛暑で収穫量が減少

農林水産省によると、去年の記録的な猛暑の影響で米の一大産地・秋田県などで収穫量が減少しました。

一方、新型コロナが5類に引き下げられた去年5月以降、飲食店などで米の需要が急増。

「小麦より割安感」家庭でも需要増

一般家庭で消費量が増えていることも米の値上がりや在庫の減少に繋がっていると、梶谷さんは話します。

梶谷米穀店 梶谷登さん
「他の食材に比べ割安感がお米にあったと思います。小麦と比べても割安感があったし消費者にとって買いやすい状況だったんじゃないでしょうか」

弁当店も悲鳴

市民の台所・旦過市場にある弁当店。精米したての米を使ったおにぎりや弁当など、品質にこだわった商品を販売しています。

1週間に扱う米の量は約60キロ。急激な米の値上がりに、危機感を感じています。

米夢マイム 中尾憲二 店主
「原価の中心であるお米が長期的に上がるとなると弁当の値上げを考えないといけないかなと。とりあえず今年のお米まではなんとか耐えようかなと思っています。」

海苔も不作 2割値上がり

また、おにぎりに使う海苔も不作が影響し、前の年に比べ、2割ほど値上がりしています。

米夢マイム 中尾憲二 店主
「海苔を巻けなくなる。かと言って他のものを使う訳にもいかない。ダブルで大変です。お昼ご飯なので、できればワンコインで済むようにしたいですが、ここは我慢のしどころかな」

円安による輸入品価格の高騰が食卓を直撃しつづける今、米の品薄はいつまで続くのでしょうか。

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