EU、自動車産業の存続に危機感 中国では「保護主義」に反発も

スペインで、中国の奇瑞汽車と現地企業との合弁工場を訪れた中国の王文濤商務相(左から3人目)=2日(中国商務省のホームページから・共同)

 中国製電気自動車(EV)に追加関税を課す方針を示した欧州連合(EU)は、中国車の急速な普及で、欧州の自動車産業の存続が脅かされると危機感を強める。米欧は歩調を合わせて対抗するが、中国では「保護主義」に反撃すべきだとの強硬論も出ており、亀裂が深まるのは避けられない。

 「コスト競争力のある中国製品は、欧州車メーカーの域内シェアを徐々に奪い、最終的には地元の経済活動に影響を与える」。欧州自動車工業会の幹部は中国車を「ドラゴン」に例え、欧州の政策当局に域内産業を保護する必要性を訴える。

 EUでは、2023年の新車登録台数でEVのシェアが14.6%となった。各国政府の補助金などが追い風となり、ディーゼル車の13.6%を抜いた。エンジン車からEVへの転換という「地殻変動」の中、EVに強い中国メーカーが販売を伸ばす土壌になっている。

 中国企業の強みは、価格競争力の高さだ。加えて優秀な開発者を採用してデザインや性能に磨きをかけている。欧州で開かれる自動車ショーに積極的に出展し、認知度向上に余念がない。

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