中10日で体は元気でも…難しい勝負球の調整 5回を踏ん張ってほしかったソフトバンク大津亮介

4回無死三塁、ヤクルト・長岡に中前適時打を打たれた大津(撮影・穴井友梨)

◆日本生命セ・パ交流戦 ソフトバンク3―9ヤクルト(12日、みずほペイペイドーム)

1日の広島戦で自己最多の110球を投げたこともあり、中10日と間隔を空けての先発。大津は体は元気だったと思う。ただ、投手は微妙な感覚も必要。体が元気だからこそ力み過ぎて、勝負球の調整が難しくなることがある。今回はそうだったのではないか。

3回まで無失点に封じながら4回に3失点。先頭の丸山に右翼フェンス直撃の三塁打を浴びた後、長岡に低めに投じたチェンジアップをうまく中前に運ばれた。あの一打で少しがくっときた印象で、その後は勝負球が甘くなった。全体的に球も浮いていた。

4失点の5回は先発としての今後を考えれば、踏ん張ってほしかった。序盤に一気に失点しても平気で終盤まで投げ続け、展開次第ではチームに勝利をもたらし、自分も白星を手にする投手もいる。例えば、通算161勝の中日涌井はそんな投球ができる。これは投手としてすごいことだ。

ベンチも4回の3失点の後、いかに修正できるかを見たかったはずだ。5回は村上の3ランで相手を勢いに乗せてしまったが、無失点で乗り切って1―3のままで終盤までいけば、勝負は分からなかった。さらに先発が長い回をしっかり投げれば、救援陣も助かる。

このようなことを期待するのも、今季から先発に挑戦した大津が十分に期待に応えているからだ。開幕からで7試合連続でクオリティースタート(6回以上投げて自責点3以下)を達成し、今回はいわば先発として初めての失敗。これを責めるのは酷だろう。次回登板に期待したい。(西日本スポーツ評論家)

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