【日本ハム】交流戦は黒星先行… 不慣れなAクラス争いで選手に「疲労蓄積」の懸念

〝試練〟の日本ハム・新庄監督

ここからが正念場か。日本ハムは12日の中日戦(エスコン)で投打がかみ合い、7―0で完封勝ちを飾った。Aクラスを死守しながら奮闘を続ける一方、不安材料も噴出している。昨季まで優勝争いとは無縁の2年連続最下位に沈んでいたとあって、思わぬ「反動」に見舞われつつあるという。

文句なしの試合運びだった。初回に田宮の適時打と万波の8号3ランで4点を先制すれば、先発した伊藤は98球3安打無四球で完封。試合後の新庄剛志監督(52)も「今日は選手に聞いてあげてちょーだい!」とナインを持ち上げ、足早に球場を後にした。

昨季の交流戦は10勝8敗の5位で乗り切ったが、今季は6勝7敗で黒星が先行。パ2位に浮上したものの3カード連続で負け越し、昨季までの2年間で6戦全勝だった中日にも11日の試合で初めて土をつけられた。若手の台頭と新戦力の加入で昨季までより明らかにチーム力は向上しているにもかかわらず、思うように躍進できない理由はどこにあるのか。

大きな要因の一つとされるのが各選手の「蓄積疲労」だ。今季は序盤から若手を中心に一軍ナインのほぼ全員が躍動し、投打を含めチーム一丸で勝利をもぎ取ってきた。しかも直近の2シーズンとはまるで異なり、緊張感のあるAクラス争いを連日繰り広げている。その反動が選手の肉体やパフォーマンスに暗い影を落としつつあるという。

さらに、チーム内に「シーズンを完走した選手」が少ないという点も拍車をかけている。フル出場を経験した選手たちはペナントの戦い方や〝抜きどころ〟などのノウハウも身につけている。だが、現状のレギュラー陣は移籍組や定位置争いを続けてきた選手ばかり。実質的にフルに活躍した経験を持つのは万波と松本剛の2人くらいだ。こうした経験値の乏しさが、疲れがたまり始めるこの時期にジワジワと押し寄せ、チームの停滞につながっていると言える。

当の田宮も「疲れてるとか疲れてないとかも分からない状況をずっと(脳裏に)作るっていう感じです。(試合に)出続けているのも初めてなんで」と明かす。試行錯誤しながら長いシーズンを乗り切る気概を見せた一方、新庄監督ら首脳陣もチーム状態も把握済みで田宮には極力休養を与え始めているが…。

疲労が押し寄せる一つの〝試練〟を乗り越えられれば再び上昇気流に乗れそうだが、果たして――。

© 株式会社東京スポーツ新聞社