松山英樹が胸を張る「アドバンテージ」 キャリアで2周目のメジャーサイクル

10年ぶりにパインハーストを戦う松山英樹。経験値が武器になる(撮影/村上航)

◇メジャー第3戦◇全米オープン 事前(12日)◇パインハーストリゾート&CC パインハースト No.2(ノースカロライナ州)◇7548ヤード(パー70)

2014年、松山英樹は「ザ・メモリアルトーナメント」でPGAツアー初勝利を飾り、のちの輝かしいキャリアの扉を開けた。当時のその直後の試合がパインハーストで開催された「全米オープン」。メモリアルの最終日に1Wのシャフトが折れたため、急きょ新しいクラブを準備するなど、慌ただしくメジャーを迎えていた。

ネイティブエリアにワイヤーグラス群(撮影/村上航)

フェアウェイの両サイドに砂地がひろがるコースは、10年前の経験値で言えば目新しかった。せり上がった砲台グリーンに丁寧に対処しながら4日間プレーして35位。その春に東北福祉大を卒業した年のことだ。

32歳になった松山は今、どのメジャーでも過去の記憶とすり合わせてコースを回る。「(2014年のコースを)覚えています。何ホールかはグリーンの奥が変わっていた。きょうも後半、忘れていたホールを見たら思い出した」という。「やっぱりタフだと思います」と言いつつ、開幕2日前、前日と9ホールずつの練習ラウンドをこなすだけで、すぐに打撃練習場でのショット、パット調整に励むことができる。

32歳で臨む12回目の全米オープンへ(撮影/村上航)

コースはバンカーやグリーンの形状が変わっていない代わりに、ネイティブエリアにひざ丈ほどのブッシュのようなワイヤーグラスが数多く植えられた。ボールの在りかで運と不運が分かれそうな仕掛けにも「前回もそういうイメージだった。砂地であることには変わりない」とティショットの精度を重んじる姿勢は変わらない。

トーナメントウィークに入ってから晴天が続いており、コースはより乾いて球足を速くさせそう。「グリーンは(まだ)そんなに硬くないと言っても、やっぱりティショットがフェアウェイに行かないとのらないと思います。チャンスのホールはほぼないと思う。どれくらい耐えられるかだと思います」

開幕前日はイム・ソンジェ、金谷拓実と一緒にラウンド(撮影/村上航)

マルティン・カイマー(ドイツ)の14年大会の優勝スコア、通算9アンダーは“異次元”で、2位タイは8打差の1アンダーだった。つまりアンダーパーは3人だけ。10年後のことしもガマン比べは必死で、厄介なグリーン周りからは年々進化を遂げたウェッジワークで窮地をしのいでいきたい。

「マスターズ」を除いて、毎年コースが変わる3つのメジャー。都度対応が求められる中、松山は「メジャーに2回目のルーティンで入れる」ことに、少しプライドをのぞかせた。「(バルハラGCで行われた5月の)全米プロも10年ぶり、去年のリバプール(全英オープン)も9年ぶりだった。知っているコースでのメジャーはアドバンテージになると思う。それはこれからも増えていく、チャンスを生かしていけるように」。積み重ねてきた日々を武器にティオフする。(ノースカロライナ州パインハースト/桂川洋一)

ショットの調子もまずまず(撮影/村上航)

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