「ちょっとずれて、“あっ”と思って」マリノス井上健太が明かす貴重な同点弾の舞台裏【天皇杯】

[天皇杯2回戦]横浜 2(5PK4)2 岐阜/6月12日/岐阜メモリアルセンター長良川競技場

6月12日に行なわれた天皇杯2回戦で、横浜F・マリノスはFC岐阜と敵地で対戦。120分を戦った末に2-2で決着がつかず、迎えたPK戦を5-4で制した。

この一戦で貴重な同点弾を決め、横浜の3回戦進出に大きく貢献したのが井上健太だ。

1-2で試合がそのまま終了するかに思われた90+7分、左サイドをドリブルで持ち上がった井上が、ボックス内に侵入して右足を振り抜く。2回バウンドした低い弾道のシュート。ボールは逆サイドのポストに当たってネットに吸い込まれた。

【動画】井上が劇的同点弾! 横浜がPK戦を制して3回戦進出。岐阜戦ハイライト
試合後、井上はゴールシーンを次のように振り返った。

「ボス(ハリー・キューウェル監督)から、もっと仕掛けろって試合中に言われていて、シュートとかクロスでやりきる場面が少なかったので、最後は自分がいかなきゃっていう想いで振り抜きました」

後半アディショナルタイム、あと数分を守り切れば勝ち上がれる岐阜が5バックを敷いてゴール前を固めるなか、井上はシュートコースが見えていたという。

「相手も縦を警戒していて、ちょっとずれてコースもあったので、“あっ”と思って。キーパーの位置までは把握できなかったんですけど、一瞬だけ空いたので打ちました」

エウベル、ヤン・マテウス、宮市亮、水沼宏太など、横浜のウイングには実績のある錚々たるメンバーが揃う。だからこそ背番号17は「自分たちがここで何ができるのかを監督からも求められていたと思うし、ここで負けて、周りから“やっぱり駄目なんだな”と思われるのは嫌だった。自分のポジションには良い選手がたくさんいて、結果も残している。そこに食い込んでいくためには数字を残さないといけないことは自分でも分かっているので、取れて良かった」と語る。

井上は直近のリーグ戦では2試合続けて先発しており、チーム内での存在感を高めつつある。スピードが武器のアタッカーのさらなる飛躍に期待だ。

取材・文●金子徹(サッカーダイジェスト編集部)

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