福山雅治さんの「クスノキ」 道徳の教科書に掲載 来春からの中2道徳「生命の尊さ感じて」

福山さんの「クスノキ」の歌詞と被爆クスノキの写真を掲載した教科書

 長崎市出身のシンガー・ソングライターで俳優の福山雅治さん(55)の被爆クスノキを題材にした楽曲「クスノキ」が、来春から使用される中学2年生の道徳教科書(教育出版)に掲載された。原爆投下から来年で80年を迎えるのを前に、同社は「命の大切さ、平和の尊さ、戦争の愚かさについて考えられる教科書にしたい」としている。
 被爆クスノキは、長崎の爆心地から南東約800メートルに位置する山王神社(同市坂本2丁目)の境内にある。推定樹齢は500~600年。原爆で一時枯れながらも再び芽を出した。福山さんは2014年、この生命力をうたった曲「クスノキ」を発表。アルバム「HUMAN」の1曲目に収められている。
 同社によると、来春から使用する教科書を編集していた22年、ロシアのウクライナ侵攻が始まったことを契機に、道徳の教科書でも戦争や平和に関する教材を重視する流れになったという。こうした中、編集会議で、編集委員である教員から「楽曲『クスノキ』を授業で扱った際、生徒の反応がよかったので教科書にも入れてみてはどうか」という提案があり、掲載に至った。
 この教科書はB5判、192ページ(オールカラー)。見開き2ページに歌詞と写真、説明文9行を掲載。道徳の教科書は読み物が多いが「少ない情報の中で自分なりに考え、歌詞の意味を読み取ってほしい」と、あえて説明文を減らした。その分、被爆クスノキの詳細が載った同市が運営する公式観光サイトにつながるQRコードを添付。それぞれの学習用端末で読み取れるようにしている。
 担当した同社の森田なお絵さんは「生命がいかに尊いものであるか、これを一瞬で奪う戦争の愚かさを写真と歌詞から感じ取ってほしい」としている。

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