教師と学生、自由に学んで語る場に 長崎でサークル発足 ウェルビーイングの実現へ 

初回の研修で意見を交わす参加者=長崎市筑後町、ホテルセントヒル長崎

 長崎県内の小学校教師や志望学生らが自主的に学び合う研修サークルが発足し、初めての研修会が先月開かれた。本年度は年4回開き、学校や世代の枠を超えて授業や学級づくりについて学んだり、意見を交わしたりする。学校が子どもにとって行きたい場所になるように、教師のウェルビーイング(心身の健康や幸せ)につながる研修をつくっていきたい考え。全国で教員のなり手不足が深刻化する中、活気ある現役教師の姿は「教職を目指す者にとっても最大の魅力になる」としている。
 サークル名は「3C Active Teachers Nagasak!」(3CATS長崎)。「3C」は「チャンス」「チェンジ」「チャレンジ」の頭文字。代表で長崎大教育学部・大学院教育学研究科の木村国広教授が知り合いの小学校長経験者や研究者ら4人に声をかけ、昨年6月創設。県内の教師、学生らに参加を呼びかけ本年度から研修をスタートさせた。
 長崎市内で先月11日開かれた初回は離島を含めた県内14市町から100人以上が参加し、木村教授ら創設メンバー5人が講演。木村教授はスタートアップ(新興企業)を例に挙げ、同サークルの狙いを紹介。「これまでの常識では考えられなかった商品やサービスで、既存のビジネスモデルのイノベーション(技術革新)を目指す」とスタートアップを説明した上で「イノベーションを起こし、新しい研修モデルを手探りで構築したい」と呼びかけた。
 グループに分かれて意見交換するワークショップも実施。採用1年目の若手からベテランまで入り交じった5、6人で、教員として働く中での悩みや考えを語り合った。参加者からは「悩みが共有でき、気持ちが楽になった」「違う市町の先生と自由に話す機会はこれまであまりなかった」「悩みや課題に的確なアドバイスをもらえ、発見や気づきがあった」といった感想が寄せられた。
 公立小の校長や県教委義務教育課長などを歴任した木村教授は、長年のキャリアから「長崎にはたくさん良い先生がいる」と確信していた。「そんな先生たちが集まれる場があれば、先生同士ももっと高め合えるのではないか」と同サークルを思い立った。
 学校や教育委員会主催の研修などと違うのは、自主的に集まり、深めたいことや聞いてみたいことなどを自由に学ぶ点。「参加者で意見を出し合い、みんなでつくり上げていく」と話す。県教委も同サークル発足を「ありがたい動き」と捉えている。
 今後は授業研究会やグループ交流なども予定。2回目は8月3日で、初回の参加者の要望を基に▽学校経営や特別活動▽授業づくり、授業改善▽教職員集団づくり、世代を超えた同僚性の構築-など七つのテーマ別の意見交換などを行う。初回に参加していない人も参加可能。
 問い合わせは木村教授の研究室(電095.819.2391)。

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