三田学園は無念の準V それでも福島康太監督「プロを目指しながら勉強も」文武両道どちらも諦めない

三田学園の福島康太監督

 令和6年度全国高校サッカーインターハイ(総体)兵庫予選決勝、三田学園神戸弘陵に1-3で敗れ惜しくも優勝を逃した。

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 序盤は三田学園が勢いよく攻勢を仕掛けた。FW10姫田琢斗(3年)とFW9瀬尾涼太(3年)の2トップが前線から追い回し、中盤でも強度の高い神戸弘陵に引けを取らないプレーを見せる。7分には姫田が抜け出してチャンスをつくった。そこから神戸弘陵に盛り返されたが、前半の終盤はリスクを回避し、長いボールも使いながらスコアレスで前半を終えた。

 「前半はプラン通り0-0で終えて、後半追い風で勝負」とは三田学園の福島康太監督。狙い通りの展開に持ち込み勝負の後半を迎えた。

 しかし、三田学園は45分に先制を許すと、51、60分と立て続けに失点。それでも諦めずにゴールを目指したが、アディショナルタイムにオウンゴールで1点を返すのがやっと。決勝まで勝ち上がりながら無念の準優勝に終わった。

三田学園イレブン

 試合後、指揮官は「狙い通りの前半で、後半に勝負をかけたかったんですが、その矢先にクロスからの失点。あの瞬間ちょっと緩くなってしまった」と試合の流れを決めた1失点目を悔やんだ。そして「もうちょっとボールを動かせないと。FWが引っ張って相手のDFラインが下がったところの1.5列目のハーフスペースを使いたかったんですが、そこに入れるあと少しの勇気がなかった。ボランチがボールを引き出す勇気も足りなかった」と、決勝の重圧と相手の強度の前に強気なプレーができなかったと振り返った。

 そして何よりも「ほんまに良い応援だった。誇れる応援をしてくれて、だからこそ勝ちたかった」。スタンドから大声援で背中を押してくれた応援団のためにも勝ちたかったと肩を落とした。

 今年の3月に福原幸明前監督からバトンを受けた福島監督。その言葉からも"選手たちと全国に行くんだ"とこの一戦に並々ならぬ強い想いを持っていたのが伝わってきた。

スタンドから大声援で選手たちの背中を押した応援団

 「やっぱりプレッシャーは凄いですね。勝たなあかんというのもあるし、勝たせてあげたいというのもあるし」。監督になったことでのしかかる重圧との戦いもあった。それでも「みんなほんまに良くなって、思い切りサッカーをしてくれた」と大会を勝ち進みながら成長する選手たちの姿も見ることができた。

 三田学園は進学校ということもあり、かけられる時間や労力にも限りがある。だからこそ「少ない練習時間でこちらが練習の工夫をしたり、強度を上げる声掛けをしたり、本当に時間を無駄にしない練習をして、自主自立をもっと求めて、あいつらだから出来ることだと思います。それとプロを目指す選手が少ないので、プロを目指しながら勉強もしっかりやる」。福島監督はやり方次第で勉強もしながらプロも目指せることを証明するつもりだ。

 この試合で神戸弘陵の壁を越えることはできなかった。ボールを握る力や強度の高さなど、課題を突き付けられた。

 「前は良いタレントがいるので、展開のところをもうちょっと工夫しながら、そこからソロで仕掛ける、コンビで仕掛ける、グループで仕掛ける。そこの質を上げて、やっぱりボールを握りたいですし、でもボールを握るのが全てではないとも思っていますので、速い攻撃で縦一本も取れるように練習していきたい」

 福島監督はこのチームが目指すべき方向を真っすぐ見つめ、この敗戦の悔しさをリーグと選手権にぶつける。

 (文・写真=会田健司)

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