気づいたときにはもう遅い? 犬を「腎臓」「肝臓」「膵臓」の病気から守ろう

「腎臓」「肝臓」「膵(すい)臓」は、ダメージを受けても症状を出さずに沈黙を守るといわれています。飼い主さんが気づいたときには、病気が進行していることも。今回は、それぞれの臓器の特徴や病気にならないために心がけたいことを、獣医師の室卓志先生に教えていただきました。

「腎臓」ってこんな臓器!腎臓の病気を防ぐためにできることとは?

引用元:いぬのきもち投稿写真ギャラリー

腎臓には「ネフロン」と呼ばれる尿をつくる組織があります。ネフロンが減ると機能が低下しますが、減った分を補うために元気なネフロンが自らの能力を上げるので、検査で異常が出にくいという特徴が。

なお、腎臓は血液検査で異常が出る前に、飲水量やに変化が起きるのですが、この段階なら腎機能の4割程度が残っているケースも考えられます。腎機能は2~3割が残っていれば、できるだけ長く持たせられる可能性もあるでしょう。

腎臓病を防ぐためにできること

尿をつくったり、体の水分量を調節したりする腎臓の働きには、適度な水分が必要。冬場も水分補給を心がけましょう。
また、余分な塩分を排出するのも腎臓の役目となります。塩分が増えると腎臓に負担がかかるため、日頃から人用に味付けされた食べ物を犬には与えないようにしましょう。

「肝臓」ってこんな臓器!肝臓の病気を防ぐためにできることとは?

引用元:いぬのきもち投稿写真ギャラリー

肝臓は、8割程度がダメージを受けていても、残りの部分で働きをカバーできることに加え、再生能力が高いというのが特徴です。また、肝臓の機能低下の原因となっている病気を治療することができれば、肝機能が回復する可能性もあります。

肝臓病を防ぐためにできること

古いフードに生えたカビや、人の高カロリーで塩分の多い食品、添加物を多く含む食べ物などは、体内の有害物質を分解する肝臓の負担に。犬のゴハンを良質なたんぱく質を含む総合栄養食に変更することで、肝臓の数値が正常になることもあるほど食べ物が大切です。

「膵臓」ってこんな臓器!膵臓の病気を防ぐためにできることとは?

引用元:いぬのきもち投稿写真ギャラリー

膵臓は、胃や腸などの臓器や血管に囲まれているため、エコー検査で探しにくく、全体像を確認できないことも。ダメージを受けた場合は、血液検査に異常がでやすく、膵リパーゼを測定すると、炎症の有無や激しさがわかります。

膵炎を防ぐためにできること

膵炎の原因には、脂っぽいものを大量に食べたことや、自己免疫の異常や高脂血症の体質のほか、ホルモンの病気などの関わりも指摘されています。
犬のゴハンが高脂肪にならないように気をつけ、ケーキや揚げ物など人の食べ物は与えないようにしましょう。

日頃から病気にならないように心がけるのはもちろん、万が一異変があらわれた場合は、早めの受診を心がけましょう。

お話を伺った先生/室卓志先生(JASMINEどうぶつ総合医療センター腎泌尿科および消化器科担当獣医師)
参考/「いぬのきもち」2022年1月号『知らないうちに重症化する“沈黙の臓器”だから気をつけたい!腎臓肝臓胃膵臓の病気』
文/山村晴美
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性がない場合もあります。

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