東京から札幌まで「鉄道」だけで行ってみたら、こんな気持ちになりました

北海道の素晴らしい自然を見ながら鉄道で移動

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北海道に行く。そんな時、大半の人が「飛行機」を想像するのではないでしょうか。

私も空の便以外で行ったことはありませんが、2016年3月に新函館北斗駅まで北海道新幹線が開業したことで、列車での移動時間は大幅に短縮されました。

「ちょっと腰が痛くなりそう。でも、青函トンネルなど興味をそそられる……」

思い立ったが吉日。ということで、東京から札幌まで「鉄道」で行ってみました。

《この記事の初出は2022年5月30日(BuzzFeed Japan News)で、一部を編集して配信しています。筆者は同じく相本啓太です》

いざ出発。青函トンネルも

決行日は日曜日。この日、東京は30度を超える真夏日でした。

半袖Tシャツ、トレーニング用ジャージ、ランニングシューズという姿で自宅を出発。長距離移動に備えます。

JR上野駅(東京都台東区)に着き、おにぎりを2つ購入。乗り込むのは、午前6時38分発の新幹線「はやぶさ1号」です。

秋田に向かう「こまち」を連結した状態で到着しました。「こまち」は盛岡駅(岩手)で「はやぶさ」と切り離されます。

新幹線は定刻通りに出発。大宮駅(埼玉)に停車した後、一気に仙台駅(宮城)まで走りました。ここまでの所要時間は1時間半ほどです。

「飛行機なら羽田から新千歳にちょうど着く時間か」と思いながらも、過去に仕事で福島県に赴任していたことから、途中の風景が懐かしく嬉しい気持ちになりました。

午前8時50分、盛岡駅に到着。ここで秋田に向かう「こまち」の切り離しが行われ、「はやぶさ」は二戸(岩手)、そして青森県に入りました。

青森には訪れたことがない私(当時)。初めての風景を噛み締めながら、八戸、七戸十和田、新青森……。そして、奥津軽いまべつを過ぎ、ついに青函トンネルです。

すると、次のようなアナウンスが車内に流れました。

「これから先、青函トンネルを通り、北海道へ向かいます。青函トンネルの全長は53.85キロメートルです。そのうち、海底部分は23.3キロメートルで、最も深いところでは海面から240メートル下を入ります。所要時間はおよそ22分です」

津軽海峡を横断して本州と北海道を結ぶーー。鉄道・運輸機構(JRTT)によると、海底部の掘削では4度の大出水事故による水没の危機をはじめとし、難工事の連続だったそうです。

技術開発や工事関係者の努力に思いを馳せ、真っ暗な外を眺めていると、急に光が差し込んできました。

ついに北海道上陸です。木古内駅に停車後、午前10時53分、新函館北斗駅に到着しました。

ここまで、4時間ちょっとの旅。途中、仮眠をとったからか、体感的に疲れはありませんでした。「北海道に新幹線で来た」という興奮もありました。

青函トンネルに入ることを知らせる新幹線の電光掲示

北海道らしい駅弁やエゾシカのアナウンスも

そして、新函館北斗駅から札幌に向かいます。乗り換え時間が10分余りしかなく、慌てて同駅内のコンビニ店に駆け込みます。

最初に目に入った「北海道らしい駅弁」を購入。特急「北斗9号」に乗り込むためホームに向かうと、ちょっとした違和感を覚えました。

皆、長袖を着用しています。半袖Tシャツを着ている人はいません。手元の気温計を見ると19度。ひんやりとした風が吹き込み、少し肌寒く感じました。

「電車は暖かそうだから我慢しよう」。そんなことを考えているうちに、午前11時5分発の北斗9号が走ってきました。

2号車の1番A席に座ります。車内を見渡すと、席は3分の1ほど埋まっているようです。そして、コンビニで買った「北海道らしい駅弁」を食べます。

「かにめし」「北海道産米使用」。なんともそそられる文字。手に取って正解でした。

電車はのろのろと走り出しました。車内から見える風景は東京とはうってかわって大自然を感じられます。

そんな風景を見ながら、だらだらとかにめしを頬張る。なんとも言えない優雅な時間が流れていきます。

特急は海岸線沿いを走っていきます。ぼーっと車窓から外を眺めているだけ。連続する平和な光景にうっとりしてしまいます。

出発から2時間が経過。東室蘭駅の周辺で、このようなアナウンスが車内に流れました。

「この先、エゾシカなど野生動物が出没する区間を走行します。急ブレーキを使用することがありますので、ご注意ください」

エゾシカが線路に入ってくることで、衝突事故が起きているようです。

北海道らしい駅弁

計8時間の旅の感想は

その後もただ景色を眺めていると、向かって左側に飛行機が見えました。新千歳空港です。

「本当に陸路で来たんだな」。飛行機で来た時とは別の感動を覚えました。

ガタンゴトンと揺られながら、外に流れる優雅な風景を見て、何も考えず駅弁を味わうーー。それもまた贅沢な時間。「そろそろ札幌かな」と考えていると、プロ野球・北海道日本ハムファイターズのボールパークが見えてきました。

野球ファンとしては、早く観戦に行きたくてワクワクしています。新札幌駅を過ぎ、ついに「まもなく終着、札幌駅です」というアナウンスが流れました。

新函館北斗駅から約3時間半。午後2時38分、札幌駅に到着しました。

東京・上野から札幌までにかかった時間は、乗り換えを入れて8時間。乗車する新幹線や列車によってかかる時間は様々ですが、無事に札幌まで来ることができました。

長時間座っていた疲れがないことはないですが、雄大な景色を楽しむことができ、思ったより早く着いたような気がしました。

あと、飛行機で来た時にはない達成感が生まれます。もし時間に余裕があり、気分転換をしたい時はおすすめです。普段とは違う感動を味わえるかもしれません。

ただ、時期によりますが、服装にはご注意ください。

新函館北斗から札幌まで

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