坂東龍汰、幅広い活躍の裏に秘めた思い 「脇も主演も両方できる役者になっていきたい」

この春、『RoOT / ルート』(テレ東系)で地上波連続ドラマ初主演を務め、『366日』(フジテレビ系)では月9ドラマ初出演を果たしている坂東龍汰。『RoOT / ルート』では、凶運の新人探偵・佐藤役を演じている。そんな坂東に、W主演を務めている事務所の後輩・河合優実との関係性や、大活躍の現状について語ってもらった。

ーー『RoOT / ルート』は昨年のうちに全て撮り終えられているそうですが、撮影を振り返っていかがですか?

坂東龍汰(以下、坂東):楽しかったですね。毎日現場も明るかったですし、画作りがすごくカッコよかったので、毎回カメラワークだったりどんなレンズを使っているのかを見るのもすごいワクワクしました。撮影が深夜までかかる日とかもあって。そういうときはみんな妙なテンションになっていて、それもそれですごく楽しかったですね。

ーー聞くところによると、途中まで自分が主演だと気づいていなかったそうで……。

坂東:ははははは(笑)。その話が出回ってしまっているんですね。そういう意識があんまりなかったって言ったほうがいいですかね。主演という意識をあまり持たずに、佐藤として、バディとしての役割を全うできたらなと。(河合)優実ちゃんとは、事務所の後輩先輩という関係性が元々あったので、優実ちゃんを支えながらできたらなと最初は思っていたんですけど、実際は支えてもらってばっかりで。佐藤のキャラクターもあって、僕も結構やりたい放題やらせてもらってたので、優実ちゃんも一緒になって、お互いに支え合えていたらいいなとは思いますけど。

ーーポンコツで空気が読めないところもある佐藤は、坂東さんがあまり演じてきたことのないようなキャラクターですよね。

坂東:そうですね。佐藤みたいな役をやらせていただいたことは今までなかったので、かなり新鮮な気持ちで演じられました。役作りは本当にしなかったですね。今回は脚本に書かれていることに忠実に……(笑)。

ーー(笑)。

坂東:でも、現場に行って優実ちゃんに会うと、僕らの関係性もあるので、カメラが回ってないときもたわいもない会話をずっとしていて。で、そのまま「行きます」と声がかかって、撮影に入っていく。カメラが回りはじめても、話していた空気のまま入り込めたのは、佐藤という役を演じる上では大切でした。玲奈と佐藤はデコボコバディですが、どこかニコイチであるという一体感みたいなものを完成した作品を観たときに感じられたので、みなさんにも楽しんでいただけたら嬉しいです。

ーー相手役が河合さんだから生み出せたバディ感でもあると。

坂東:間違いないですね。相手役が優実ちゃんじゃなかったら多分出なかった玲奈と佐藤の空気感は間違いなくあると思いますし、イチ役者としても貴重な経験をさせていただいたなと思います。もともと知り合いという関係性でバディ役ができるという経験もなかなかないので、僕らの存在を見つけてくださったプロデューサーの方々には感謝したいです。

ーー坂東さんから見た河合さんの魅力とは?

坂東:優実ちゃん独特の世界観は、映画やドラマなどいろんな作品を観て知ってはいたんですけど、初めて実際に現場でこれだけの掛け合いをしてみて、すごくお芝居がしやすかったです。それは関係性があったからなのかもしれないですけど、優実ちゃんの出す言葉一つひとつに僕が佐藤として素直に反応していれば、こんなにも成立するんだなと。改めて河合優実の凄みに気付かせてもらえたなと思います。

ーー何が他とは違うんですかね。

坂東:なんなんでしょうね……。でもやっぱり優実ちゃんと共演された僕の知り合いとかも口を揃えて「お芝居しやすい」と言っていたので、優実ちゃんの中に何かがあるんでしょうね。でも完成した作品を観て改めて思ったのは、その作品の中に本当に存在できる人だなと。優実ちゃんがいるだけで作品に厚みが出るというか、画がすごく生き生きしてくるというのは本当に思いました。今回は主演ということで、優実ちゃんのことを画面で見られる時間が長いので、もう眼福ですよね。ずっと見てたいっていう。それはドラマを観ている方も同じ気持ちだと思います。

ーー事務所の先輩として、河合さんにアドバイスをしたりすることは?

坂東:いや、ないですないです。全くないですね。でも事務所に入ってきてすぐのときとかは、一緒にワークショップでお芝居をしたりしていて、オーディションが受からないとかダメだったみたいなことがあったときに「大丈夫だよ、俺もいっぱい落ちたよ」と言ったりしたことはあります。気づいたら、そこからもう見る見るうちにすごい成長ぶりで。むしろこっちが教えていただくことのほうが多いです。

ーーお芝居の話をすることはあるんですか?

坂東:優実ちゃんと普段の会話でお芝居の話をすることは意外と少ないかもしれないですね。どういう話するかな……。もう本当にたわいもない話ですかね。あまりここでは話せないようなことばかり(笑)。さっき取材のときに盛り上がってたのは「交代浴」。僕が現場で「交代浴いいよ」と教えてあげたら早速やってみたみたいで、とんでもなくよかったと。そういう誰も興味がないような会話をしています(笑)。

ーー今期は月9ドラマ『366日』にも出演されていたりと露出が増えていますね。

坂東:ありがたいことに、いろいろと経験はさせていただいてるかなと。なかなかうまくはいかないこともありますけどね。でもこれから先のことだったりは常に考えながら取り組んでいきたいなとは思いますし、まだまだこれから全然見たことない景色がたくさん広がっているでしょうし。出会ったことのない脚本に出会えると信じて頑張っていきたいなとは思ってるので、今に満足せずに貪欲にやっていきたいなとは思います。

ーー主演から脇役まで幅広い活躍をされている印象ですが、ポジションはあまり気にせずに?

坂東:さっきマネージャーさんと車の中で話してたんですけど、脇も主演も両方できる役者になっていきたいという思いがあります。脇役もたくさんやっていきたいですし、「坂東くんに主演をやってもらいたい」というクリエイティブな方がいらっしゃったら、ぜひ一緒に作品を作りたいです。両方やっていきたいというのは、今の気持ちかもしれないですね。何番手だろうが、面白い役を演じられるのなら、自分ができる限りのことをしたいなと思います。

(取材・文=宮川翔)

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