兵庫県議会、百条委設置を可決 51年ぶり 知事批判文書問題で 25年知事選に影響か

兵庫県庁の庁舎=神戸市中央区下山手通5

 兵庫県の元西播磨県民局長が、斎藤元彦知事らの言動を「パワハラ」などと指摘した文書を作成した問題で、県議会(定数86)は13日、地方自治法100条に基づく調査特別委員会(百条委員会)の設置を賛成多数で可決した。県議会での設置は1973年以来、51年ぶりとなる。百条委は関係者に出頭や証言を求められる強力な調査権限を持ち、斎藤知事や県幹部に対して文書が挙げた7項目の疑惑を追及、真偽を調べる。来年夏の知事選に大きな影響を与える可能性がある。

 百条委設置の動議は、最大会派の自民党(36人)と第4会派のひょうご県民連合(9人)の議員計8人が共同提出した。

 自民は「問題が長期化し、県民の県政に対する信頼が揺らいでいる」などと賛同を求めた。一方、第2会派の維新の会(21人)は「(知事が設置を表明した)第三者機関の調査で解明できない場合に百条委を検討するべきだ」などと反対する討論に立った。

 採決では議長を除く85人が投票し、賛成50票、反対35票だった。会派ごとの賛否では、自民、県民連合、共産党、無所属議員5人が賛成し、維新と、第3会派の公明党(13人)が反対に回った。

 自民は賛成するよう党議拘束をかけたが、石川憲幸議員(丹波市選出)が造反し、反対票を投じた。

 県議会は同日、百条委員会の委員15人を選び、14日午後に第1回会合を開く。

 この問題では3月、元西播磨県民局長だった男性(60)が斎藤知事や県幹部の言動を「パワハラ」「違法行為」と指摘する文書を作成し、関係者に配布。県は男性の定年退職を取り消して解任、5月に「核心的な部分が事実ではない」として誹謗中傷を理由に、停職3カ月の懲戒処分とした。

 だが、県産業労働部長が企業に依頼してコーヒーメーカーを受け取るなど、文書が指摘した内容の一部は事実と判明。県の内部調査は客観性に欠けると批判され、斎藤知事は第三者機関による再調査を決めていた。(前川茂之)

© 株式会社神戸新聞社