コース激ムズ キレて転がる球を打った選手も/いまさら聞けない全米オープン(2)

2018年大会3日目、キレて動いている球を打ったフィル・ミケルソン※最終日の撮影(撮影/中野義昌)

◇メジャー第3戦◇全米オープン 事前(12日)◇パインハーストリゾート&CC パインハースト No.2(ノースカロライナ州)◇7548ヤード(パー70)

1895年に始まった「全米オープン」は毎年、開催コースが変わります。男子メジャーはオーガスタナショナルGCでの「マスターズ」以外の3大会(全米オープンのほかに全米プロと全英オープン)はすべて、そうなのですが。米国で昨年までに50以上のコースで開催され、ペンシルベニア州のオークモントCCが史上最多の9回、大会をホストしています。

全米オープンの特徴のひとつは、コースが難しいことにあると言われてきました。主催者の全米ゴルフ協会(USGA)が仕掛けるワナがなにせ厳しい。距離が長く、フェアウェイが狭く、ラフは深い(長い)。グリーンがとても硬くて、速い(ボールがよく転がる)というのが伝統的なセッティング。つまり、一流選手でも自分の意図した通りにボールを操れない難しさがあり、ミスをいかに少なくするか、ミスをいくつ取り返していくか、という戦いぶりが繰り広げます。ガマン、忍耐…というフレーズがキーワードになってきました。

コースセッティングの難しさを表す近年の珍エピソードが2018年大会。会場のシネコック・ヒルズGCには風が吹き荒れ、傾斜の強いグリーンは日々乾燥して硬くなり、恐ろしくスピードを増しました。

3日目、フィル・ミケルソンは自らのパットがカップの横を通過すると、小走りしてまだ動いているボールを打ち返しました。止まっていない球を打つのはルール違反。ミケルソンはボールが転がり続けて、グリーンの外まで出てしまうのを防ぐため、「戦略的にルールを使った。ペナルティ(2罰打)を喜んで受け入れる」と開き直り、批判を浴びました(のちに謝罪)。あまりに速いグリーンが招いた騒動と言えるでしょう。

ところで、次回大会(2025年)はオークモントCC、その次(26年)はニューヨーク州シネコック・ヒルズCCで行われ、ことしのパインハーストNo.2には29年大会で戻ってきます。では一体、開催会場はいつまで決まっているのでしょう。正解は2051年(ミシガン州オークランドヒルズCC)。四半世紀以上も先を見据えているのです。

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