【結婚祝いのマナー】友だちの子どもや部下の披露宴、いくら包めばよい? 50代から心得ておきたい冠婚葬祭の常識

いくつになっても迷うことの多いおつきあいのマナー。これまで色々と経験してきた冠婚葬祭の中でも、マチュア世代になって初めて経験するというのが、友だちの子どもだったり、夫や自分の部下の結婚式ではないでしょうか。友人たちの式に呼ばれた若い頃とは立場も違い、ご祝儀はいくら包むのか、また欠席しなければいけない場合はどうしたらよいのかなど、迷うことも多いはず。77歳現役マナー講師で人生の先輩でもある岩下宣子さんに、Q&A形式で伺います。

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Q1 友だちの子どもの披露宴、ご祝儀はいくら包む?

友だちの子どもが結婚。最近のご祝儀の目安はいくらくらいでしょうか?

A. コロナが落ち着きを見せて、披露宴の数もだいぶ回復傾向のようですね。この3年、籍は入れても披露宴を延期していた人たちもいるでしょうし、結婚適齢期のお子さんを持つ人の多い50代は、友だちの子どもの結婚式に呼ばれる機会もあるでしょう。

披露宴に呼ばれるというのであれば、きっと新郎または新婦の小さい頃からそばにいたようなご関係、その子が立派に大きくなって、新たな門出に同席できることは、本当に嬉しいことですよね。でもやはり気になるのはご祝儀。

披露宴の会場にもよりますが、お祝いのお料理など、招待客1人にかかる費用がおよそ1〜2万円くらいとすると、そこにお祝いの気持ちを添えて、目安は2〜3万円、というところでしょうか。

ただ親戚のようなおつきあいをしている場合や、自分の子どもの結婚式でそれ以上いただいているということであれば、相応の額を包めばよいでしょう。

マナーということで言えば、お祝いには奇数を、悲しみごとには偶数を包むと言われていますが、それでいくと結婚式に2万円はよくないということになってしまいます。でも「2」は「ペア」を意味するので2万円はよしとされていたり、こじつけの部分がないとも言えません。

さらに、昔の作法書を見ると、「結婚祝いは月収の5%」と書かれていたりします。月収20万円の人なら1万円でよかったということになりますね。お祝いは、その人の経済状態に合わせて、無理のない金額を包むものだったはずなのです。

また、何年後かに相手からお返しとしてお祝いをいただく場合まで考えると、こちらができるからといって、あまり多く包むのも考えものです。

見栄を張りすぎず、お祝いの気持ちを届けられる2〜3万円が、やはり常識的なところではないでしょうか。

Q2 欠席したい場合、お返事はどうしたら?

披露宴の招待状。欠席する場合はどのようにすれば?

A. 年頃の部下が多い方だと、結婚式が続いて大変、ということもあるでしょうし、まだまだ感染症には注意したい、人が集まるところは避けたい、という人もいるでしょう。それに、本当に用事があって、呼ばれた日は都合が悪いという場合も。

いろいろな事情で披露宴に欠席せざるを得ない場合は、迷わずパッと断るのがいちばんです。

これも昔のマナーでは、欠席の場合は1週間ほど置いてからお断りのハガキを出すということになっていたけれど、返事が遅くなれば、披露宴の準備に差し障る場合もあるし、招待状が届いた時点で迷っているということは、心の奥にはだいたい「行きたくない」という気持ちがあるものなんですね。

その気持ちに蓋をして、出席の返事をしてしまっても、間近になって、やはり行きたくない、となるかもしれないですし、直前の欠席はさらに迷惑をかけてしまうもの。

ご招待くださった気持ちは嬉しくありがたく受け止めて、出席できないことをできるだけ早く知らせる。欠席の理由としては、あいにく用事が入っている、ということにする。これで先方も新しいプランで動けるのですし、自分も、ちょっとした不安を抱えてすっきりしないまま出席を迷う、などという無駄なことに時間を費やさずにすみます。

それよりも、披露宴以外でのお祝いの気持ちの伝え方に心を砕いたほうがよいでしょう。

Q3 披露宴を欠席する場合のお祝いの仕方は?

披露宴に参加しない場合のお祝い、何を送ったら?

A. 披露宴に呼ばれたけれども欠席する、または披露宴には呼ばれていないけどお祝いがしたい。そんなときに便利なのが、ネットショップのギフトカードや、オンライン決済システムでのお祝い送金じゃないかしら。気軽にできて、使い勝手がよくて、受け取る若い世代にも喜ばれるんじゃないかと思います。

金額は、披露宴に出席しない分少なめで、1〜2万円くらいでしょうか。

もちろん、ご祝儀袋に入れた現金を送ることもできます。これだけ時代が進んでも、素敵な水引のついたご祝儀袋でのお祝いの文化はすたれませんね。あの、封に入れて一手間かけるのが愛情というか、お祝いの気持ちの表れなのでしょうね。

岩下先生のまとめのひとこと

「ご祝儀は見栄を張りすぎないで。この厳しい時代のご祝儀の目安として “月収の5%”復活はよいですね。それが新しい相場になったらいいわね」

※2023年11月23日に配信した記事を再編集しています。


監修者
現代礼法研究所主宰 岩下宣子

共立女子短期大学卒業。全日本作法会の内田宗輝氏、小笠原流の小笠原清信氏のもとでマナーを学ぶ。1985年、現代礼法研究所を設立。多数の企業や公共団体などでマナーの指導、研修、講演、執筆活動を行う。NPO法人「マナー教育サポート協会」理事長。『美人のことば練習帖』(三笠書房)、『40歳までに知らないと恥をかく できる大人のマナー260』(KADOKAWA)、『書き込み式おつきあいを大切にする安心メモリー帖』(池田書店)、『冠婚葬祭マナーの新常識』(主婦の友社)など、著書、監修書多数。

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