高まるドラゴンボート人気、広がる経済波及効果 湖南省

高まるドラゴンボート人気、広がる経済波及効果 湖南省

12日、湖南省益陽市赫山区の蘭渓鎮北岸新村が建造した巨大な「双櫂竜舟(ダブルパドルのドラゴンボート)」。(動画のスクリーンショット、長沙=新華社記者/明星)

 【新華社長沙6月13日】中国湖南省汨羅(べきら)市の伝統的な木製ドラゴンボート工場では、端午節(旧暦5月5日)が過ぎた旧暦5月6日(今年は6月11日)になっても、全国各地からやってくるドラゴンボートの注文をこなすべく多くの従業員が製造に取り組んでいる。

 地元のドラゴンボート製造会社、汨羅市海竜竜舟製造の工場責任者、周亮(しゅう・りょう)さんによると、工場では近ごろ湖北省から注文のあった民間用ドラゴンボート5隻を納品するため、忙しさが続いている。顧客の地元では旧暦5月15日(今年は6月20日)の「大端午」にドラゴンボートレースを行う風習があり、5隻は同レースに用いられる。1隻の長さは24.8メートル、定員45人で、価格は5万元(1元=約22円)余りだという。

 汨羅江のほとりにある同市は戦国時代の楚の詩人、屈原(くつ・げん)で知られ、ドラゴンボート製造の長い伝統を持つことから「ドラゴンボートの故郷」とも呼ばれている。以前はドラゴンボートの注文は端午節の4〜5カ月前に集中していたが、ここ数年は多くの地元ドラゴンボート企業で年間を通じて忙しい状態が続いている。

 同省の無形文化遺産に登録された汨羅ドラゴンボート製造技術の伝承者、許桂生(きょ・けいせい)さんはここ数年の経験から、端午節が過ぎた後も全国各地からドラゴンボートの注文が入るため、需要を満たすにはあらかじめ大量の在庫を用意しておく必要があると紹介した。

 データによると、同市に登録しているドラゴンボート製造企業は20社余りで、主に木製やガラス繊維強化プラスチック(FRP)製のドラゴンボートのほか、関連の手工芸品を生産している。年間の各種ドラゴンボート生産量は5千隻余りに上り、製品は中国国内や東南アジア地域に販売され、付帯製品やトレーニング、大会の企画運営などの収入を含む産業全体の生産額は約2億元に上る。

 ドラゴンボートの経済波及効果により、消費者向け事業が大きな刺激を受けている。同省長沙市望城区の千竜湖生態観光リゾート区で端午節連休(6月8〜10日)中、2024年長沙市ドラゴンボート招待レースおよび望城区端午ドラゴンボート文化祭が開かれ、全国各地から集まったドラゴンボートレースチームが勝利を目指して競い、会場では来場者が糖画(あめ細工)や面塑(しん粉細工)、湘繍(しょうしゅう、湖南省の伝統的刺しゅう)、剪紙(せんし、切り絵細工)などさまざまな無形文化遺産を体験し、伝統文化の魅力を存分に味わった。統計によると、連休中に約9万5千人がレースを観戦し、マーケットを訪れたという。

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