外国人が「日本、優しすぎる!」と驚愕 気遣いを感じた意外なものとは

ポリネシアンアーティストとして活動するヨーコさん【写真提供:ヨーコ】

訪日外国人が感激することの多い、日本の“おもてなし”。相手の立場や状況を想像しての対応は、高いホスピタリティにつながっています。日本で暮らし、ポリネシアンアーティストとして活動するヨーコさんは、そうした気遣いに満ちた言葉や姿勢が好きだと語りました。いったい、どんなときに、そうしたことを実感しているのでしょうか。

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「島で会った人みんな、とても温かくて」

日本で生まれたヨーコさんは、子ども時代を母親の母国であるトンガ王国で過ごし、高校卒業を機にニュージーランドへ。その後結婚、出産を経て、日本に帰国。現在は、アーティスト活動や、トンガ王国を含めた太平洋諸国と日本をつなぐ活動を行っています。

そうしたなか、異文化交流を進める関係で八丈島を訪れたそう。豊かな自然や美しい海、島独自の工芸品や文化、ゆっくりとした時間の流れに身を置き、トンガを思い出したといいます。

八丈島で地元の人たちと交流したヨーコさん【写真提供:ヨーコ】

「たまたま入った居酒屋で話した店主の方が、私たちが帰る日、船を見送りに来てくれたんです。島で会った人みんな、とても温かくて、大好きになりました」と話すヨーコさん。八丈島の自然や文化だけでなく、島の人々の人柄にも魅了されたようです。

「日本とトンガにルーツ」 両国をつなぐ作品も

ヨーコさんは日本とトンガ、ふたつのルーツがあるからこそ、両国の交流をもっと盛んにしていきたいと考えています。その思いは、アーティストとしての活動にも色濃く出ているようです。

「着物の帯からインスパイアされて、帯に南国ポリネシアを代表する花であるハイビスカスを描くことで、『日本と太平洋諸国の交流がもっと盛んになるように』と願いを込めたのです」と明かした作品。華やかな南国の色使いのなかにも、伝統的な和の配色が取り入れられています。

帯に南国ポリネシアを代表する花であるハイビスカスを描いた作品【写真提供:ヨーコ】

そうして日本の文化も大切にしているヨーコさん。日本人特有の「気遣いや思いやりの言葉も、とても好き」だと話します。どんなときに気遣いを感じるかを聞くと、日本で暮らす外国人の知人のエピソードを明かしてくれました。

ヨーコさんによると、知人のもとに公共料金の請求書が届いたそう。日本語が読めないため、スマートフォンの翻訳機能を使って請求書に書かれていることを確認するなか、知人はある一文に衝撃を受けたといいます。

「日本の請求書には、『行き違いで、すでにお支払いがお済みでしたら申し訳ございません』って書いてあるでしょう? それを見て『オーマイガー! こんなことまで書いてあるぞ! 日本、優しすぎるーー!』って叫んでいました(笑)」

請求書や支払いが遅れた際の案内などに、よく記載されている日本人には見慣れた文章。入金確認のタイムラグや郵送中に支払いが完了している可能性を考慮し、相手を不快にさせないためのビジネスマナーとして、一般的に使われているものです。

こうした定型文をマナーやクレーム対策の一環として理解しがちですが、言葉通りに受け取った知人は、相手の状況に深く配慮した文章と感じたそう。ヨーコさんもまた、知人の新鮮な驚きを目にし、改めて日本らしい思いやりの言葉だと実感したようです。

日本人が見落としがちな、ありふれた言葉の中にも、視点を変えると多くの日本らしさが隠れているのかもしれませんね。

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