グアム旅行で予約したホテルがまさかの“大ハズレ”…想定外の支出を強いられた女性が得た「1つの教訓」

<前編のあらすじ>

加藤遥さん(仮名)は東京都在住でアパレル会社に勤務しています。遥さんの趣味は海外旅行で、コロナ禍以降、久しぶりに同僚とグアムに出掛けることになりました。ところが、このグアム旅行のホテルでひどい目に遭いました。

全室オーシャンビューの雰囲気のいいホテルを予約していたにもかかわらず、現地に着いた途端、「オーバーブッキングだから系列のホテルに泊まってほしい」と言われてしまいます。やむなく系列のホテルに向かったところ、そこがとんでもないホテルだったのです。

そして帰国後、クレジットカードの請求明細書を確認すると、予約時の宿泊料がそのまま引き落とされています。納得できない遥さんは、すぐにカスタマーサービスに電話をかけました。

●前編:【「マジか!」海外旅行で“コスパ最強ホテル”を予約したつもりが…旅好き女性が経験した「エグすぎる展開」】

オーバーブッキングで急きょ別のホテルに

2024年のゴールデンウィークの日本人の出入国者数は、成田、羽田の両空港ともに前年比で3~4割増えたようです。

私もその1人で、4年ぶりに同僚と海外に出掛けました。3泊4日のグアム旅行です。

航空会社のキャンペーンでお得なエアチケットが取れたので、ホテルは海外のOTA(オンライン・トラベル・エージェント)から予約しました。

高台に立つ全室オーシャンビューのホテルは南の島らしいトロピカルモダンな様式で、久しぶりの海外をエンジョイする気満々でした。

しかし、そのホテルに泊まることはかないませんでした。到着早々、「ソリー。こちらの手違いでオーバーブッキングになっていました。系列のホテルに部屋を用意したので、そちらに泊まってもらえませんか?」と言われてしまったからです。

そこから他のホテルを予約するのも面倒で、先方の申し出に従い、しぶしぶ系列のホテルに移りました。

そして、その系列のホテルがとんでもない場所だったのです。

街中にあるそのホテルは、当初予約したホテルに比べるとかなりチープな感じで、客室の広さは3分の2ほど、窓からは隣の部屋しか見えません。

家具や水回りなどトラブルだらけでしたが、私たちがどうしても我慢ならなかったのが、部屋中に湿ったようなにおいが立ち込めていて、窓を全開にしても消えなかったことでした。

朝から夜まで外出した結果、予想外の出費に

部屋にいたくない私たちは朝から夜まで外出することになり、マリンアクティビティやショッピング、レストランの食事などで予想外の散財をする羽目になりました。

そうした旅先のイベント自体の満足度は高かったのですが、為替が1ドル=160円を超えたタイミングでもあり、手痛い出費でした。帰国後に届いたクレジットカードの請求明細書を見たら、なんと引き落としが40万円近くになっていて愕然としました。

その中で看過できなかったのが、予約時に確認した額とほぼ同額のホテル代が計上されていたことです。慌ててOTAのカスタマーサービスに電話をかけました。

そのカスタマーサービスには日本語を話せるスタッフがいませんでした。仕方なくあまり得意ではない英語で何とか事情を説明し、すぐにホテルに確認してほしいと頼むと、「こちらのアドレスにメールをください」と言われました。

つたない英語でメールを書き送った2日ほど後に「確認します」というそっけない返信がありましたが、それから半月たった今に至るまで何の音沙汰もありません。

日本の予約サイトだったら絶対にあり得ないことです。

以前、日本の予約サイトで沖縄のリゾートホテルを予約した際、食事に不備があったのでサイトに指摘したところ、サイトとホテル双方からすぐに連絡が入り、ホテルからは丁寧なわび状とお菓子が送られてきました。

それくらいするのが当然だと言いたいわけではありません。今は旅行業界のカスタマーハラスメントの問題もあり、「お客様は神様」ではなくなってきています。それにしても、予約していた部屋よりはるかに見劣りする部屋に泊まらせておいて、当初と同じ料金を要求するのは明らかにおかしいし、クレームや問い合わせがあれば迅速に対応するのが接客の基本だと思うのです。

今回の遥さんの旅行における「教訓」とは?

そのOTA自体に強い不信感を覚え、SNSで検索をかけたらクレームが出るわ、出るわ。「東南アジアのホテルを予約していたのに現地に行ったら半年前に廃業していた」「急な仕事が入ってキャンセルしたら、宿泊の1週間以上前だったのに100%のキャンセル料を請求された」など、この1~2カ月だけでも私たち以上に嫌な思いをさせられた人が何人かいたことが分かりました。

私の愚痴を聞いた友人からは、海外の観光地では人気のホテルを餌に予約を集め、オーバーブッキングだと言って不入りの系列ホテルに客を振り分けているところがあるという不穏な話を聞きました。もし私たちの予約したホテルがそうだったとしたら、重大な契約違反です。そうしたホテルの情報を堂々と掲載しているOTAにも責任の一端があるように思います。

自業自得とは言え、旅行後懐具合はだいぶ苦しくなり、夏のボーナスが支給されるまでは緊縮財政を強いられています。

口惜しいのは、ネット上のクレーム情報を読む限り、返金を受けるには相当の労力と時間が必要になるらしいこと。今は仕事が忙しく、そこまでの気力や体力もないことから、結果的に泣き寝入りすることになりそうです。

1つ言えるのは、今後、よく知らないOTAは絶対に利用しないということです。

※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。

森田 聡子/金融ライター/編集者

日経ホーム出版社、日経BP社にて『日経おとなのOFF』編集長、『日経マネー』副編集長、『日経ビジネス』副編集長などを歴任。2019年に独立後は雑誌やウェブサイトなどで、幅広い年代層のマネー初心者に、投資・税金・保険などの話をやさしく、分かりやすく伝えることをモットーに活動している。

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