三協立山 経営改善へ向け、基幹サッシ・生産拠点を集約

5月30日に開催された取締役会にて、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について、方針・目標及び取り組みを決議した。PBR(株価純資産倍率)の低下が続く苦しい状況の巻き返しを図る。

同社は2021年7月に、長期ビジョン「VISION2030」を掲げ、その実現に向けた第1段階として中期経営計画(22年5月期~24年5月期)を策定し、具体的な取り組みを進めてきた。一方で、PBR(株価純資産倍率)は14年5月期以降、1倍を下回る水準で推移している。要因として、過去からの収益性、中長期での成長戦略が株主・投資家から評価を得られていないことと分析、安定的な株主還元の実現による企業価値向上を目指し、新たな中期経営計画(25年5月期~27年5月期)を立てた。最終年度の27年5月期にROE(自己資本利益率)6%以上、VISION2030最終年度の31年5月期にROE10%以上、PBR1倍を上回る水準にすることを目標として、経営に取り組む。

建材事業に関しては、20年5月期決算で前年度から立て直し、セグメント利益45億7400万円となったが、その後、前年度比マイナスが続き23年5月期決算ではセグメント損失1億1800万円となっている。市場環境としては、新築需要の長期的な減少傾向に加え、建築コストの上昇による消費マインドの低下によって、新築の減少が加速する見通しである。

これを受けて、同社は新築住宅市場から軸足を移し、リフォーム市場・非住居木造市場の対応強化とエクステリア商材の公共分野や産業分野への領域拡大を試みる。

また、基幹サッシの集約や、混流生産による生産拠点の集約でコストを見直す。具体的には、「マディオ」、「アルジオ」の2シリーズを統一し、現行のハイスペックサッシを継承した機能性とレジリエンス性と省エネ義務化適合基準以上の断熱性能を持たせた新サッシを開発。生産拠点は住宅用・ビル用サッシの混流化を図り、7工場から5工場へ集約する。

三協立山は基幹サッシ「マディオ」、「アルジオ」の2シリーズを統一することを発表(写真はアルジオ)

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