学校給食の無償化547自治体、全体の約3割…文科省調査

学校給食の実施状況(学校数ベース)

学校給食費の無償化は1,794自治体中、約3割にあたる547自治体が実施していることが2024年6月12日、文部科学省が公表した学校給食に関する実態調査の結果から明らかとなった。一方で、食材費に相当する金額の合計額(公立校のみ)推計は約4,832億円にのぼり、予算の確保も課題となっている。

学校給食は学校給食法などに基づき、小中学校等、特別支援学校、夜間定時制高校の設置者に努力義務が課せられ、食材費については基本的に保護者負担とされている。学校給食に関する調査では、6月に閣議決定された「こども未来戦略方針」に基づき、学校給食費の無償化を実現している自治体における取組状況や成果・課題、全国ベースでの学校給食の実態を調査。無償化についての調査は2023年9月1日現在、そのほかの調査は2023年5月1日現在のデータを参照している。

完全給食は学校数ベースでみると、小学校の98.8%、中学校の89.8%、特別支援学校の88.9%、夜間定時制高校の51.4%が実施。公立学校では小学校99.5%、中学校97.1%が完全給食を実施しており、実施していない学校のおもな理由は小中共に「ほかの施設で昼食が提供される」「給食施設・設備の問題」「地理的理由で困難」の順に多い。

一方、児童生徒ベースでみると、休職実施校においても約28万5,000人が重度のアレルギーなどで給食提供を受けていないことが明らかとなった。一部自治体では中学校を中心に選択制の学校給食を実施していたり、弁当を持参する児童生徒が存在することも一因にあるという。

給食費の月額平均(保護者の支払額ではなく食材費相当額)は、小学校4,688円、中学校5,367円、夜間定時制高校5,344円。小中学校については直近5年間で約8%、10年間で約12%上昇している。都道府県別にみると、小学校はもっとも低い滋賀県で3,933円、もっとも高い福島県で5,314円。中学校はもっとも低い滋賀県で4,493円、もっとも高い富山県で6,282円と、1.4倍弱の開きがあった。

9月1日時点で小・中学校段階において全員を対象に無償化を実施している自治体は、1,794自治体中547自治体で、全体のおよそ3割。また、多子世帯などを対象に支援要件を設けているのは145自治体だった。無償化に至った経緯については、652自治体が「保護者の経済的負担の軽減、子育て支援(児童・生徒がいる家庭の支援)」と回答。財源については、475自治体が「自己財源(ふるさと納税、寄付金以外)」、233自治体が「地方創生臨時交付金」と回答している。

2024年度に無償化を実施予定の自治体は、722自治体中525自治体。直近では、東京都八王子市が8月下旬から実施予定など、学校給食の無償化は全国的にも広がりをみせている。一方で、食材費に相当する金額の合計額(公立学校のみ)を推計すると約4,832億円にのぼり、予算の確保や業務負担の増加など課題は多いとみられる。

川端珠紀

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