以前は走行距離10万kmや新車登録から10年が車の乗り換えの目安とされていました。
しかし、現在では製造技術の進歩により車の耐久性が大幅に向上し、それ以上使用する人が増えています。
この記事では、車を買い替える場合と長く乗る場合とで、どちらがお得になるかをシミュレーションします。
インフレが車の買い替えにも影響
一般社団法人日本自動車工業会が、「2023年度乗用車市場動向調査」を実施しました。
直近2年の車の購入検討状況【四輪自動車保有世帯】
- 検討しなかった:53%
- 車を購入した:35%
- 現在も検討中:7%
- 検討したが購入しなかった:4%
出典:一般社団法人日本自動車工業会「2023年度乗用車市場動向調査」(以下同)
直近2年における車の購入については、「検討しなかった」(53%)が最も多く、「車を購入した」(35%)と続きました。
「検討したが車を購入しなかった」人は4%と少数でしたが、その理由は「車両価格が上昇し、購入予算では買えなかった」(34%)が最多でした。
次いで「個人的な事情や身の回りの環境などの変化」(32%)、「景気の悪化」(29%)と続きます。
経済的な理由だけでなく、ライフスタイルの変化なども車の購入を左右する要因となっているようです。
現保有車の保有期間
- 長くなると思う:43%
- 以前と同じ位になると思う:39%
- 短くなると思う:11%
- 手放した車はなかった:7%
いま乗っている車の保有期間については、「長くなると思う」(43%)が最も多く、「以前と同じ位になると思う」(39%)と続きました。
車の平均保有期間は7.2年で、「7年超〜10年」(28%)、「10年超」(24%)と、7年より長く乗る人が半数以上を占めています。
保有期間が長くなる理由(複数回答)【四輪自動車保有世帯】
- 資金の余裕のなさ:38%
- 景気の悪化:28%
- 車への愛着:25%
- 劣化度合いの少なさ:17%
- 車以外の出費を優先:16%
- 物価上昇による家計支出の増加:16%
- 車の使用頻度や走行距離の低下:15%
- 車両価格の上昇:14%
- 老後不安からの消費意欲の低下:12%
- 欲しい車がなかった:8%
車の保有期間が長くなる理由については、「資金の余裕のなさ」(38%)、「景気の悪化」(28%)と続きました。
買い替えと長く乗るの、どちらがお得?
1台の車に長く乗る場合と数年ごとに買い替える場合では、それぞれメリットとデメリットがあります。
1台の車に長く乗る場合
- メリット:買い替え費用がかからない
- デメリット:メンテナンス費用が高くなる
数年ごとに買い替える場合
- メリット:メンテナンス費用が少なくてすむ
- デメリット:購入費用の負担がかかる
車を買い替えることで新しい技術や燃費性能の向上により、快適で安全な運転が可能になりますが、初期費用が高くなる点がデメリットです。
一方、1台の車に長く乗れば買い替え費用を節約できますが、メンテナンス費用が高くなるリスクも伴います。
車を買い替えるか長く乗るかを検討する際は、これらのメリット・デメリットを考慮したうえで、購入費用だけでなく、下取り価格やメンテナンス費用なども含めた総コストで比較する必要があります。
ここでは、購入価格が300万円の新車を例に、10年間で比較してみましょう。
※簡略化した計算のため、ガソリン代や保険料、税金等は省略しています。
【5年ごとに買い替えた場合】
- 新車購入価格:300万円×2回=600万円
- メンテナンス費用:5年間で10万円×2回=20万円
- 車検:10万円×2回=20万円
- 下取り価格:100万円(5年後)
10年間の総コスト:540万円(640万円-下取り価格100万円)
【10年間同じ車に乗る場合】
- 新車購入価格:300万円
- メンテナンス費用:10年間で50万円
- 車検:55万円(10年間4回分)
10年間の総コスト:405万円
10年間の総コストは、10年間同じ車に乗った方が135万円少ない、という結果になりました。
10年以上乗り続ける場合、この差はさらに広がります。
ただし、長く乗ってメンテナンス費用の負担が大きくなった際は、買い替えを検討すべきです。
車を長く乗るかどうかは、維持費も含めた長期的な総コストで判断することをおすすめします。
長く乗ることを前提に車を選ぶ場合は、気に入った車を慎重に探しましょう。
なお、車の購入を検討している人は、「ズバット車販売」などの車探しサービスを利用すると、希望条件に合わせた車を無料で探すことができます。
- 出典:一般社団法人日本自動車工業会「2023年度乗用車市場動向調査」