緑図書館の中廊下で6月24日(月)まで、図書修理ボランティアに関する企画展示が行われている。
シミや落書き、ページの切り取り。会場のテーブルには、返却後に汚損が見つかった本がずらりと並ぶ。同図書館の司書・床井満里菜さんによると、人気の図書ほど汚損しやすく、特に子ども向けの物語などが破損することが多いという。
「あまりにも汚損がひどい本は買い替えが必要になり、その分大きな出費を要する」と床井さん。これは図書館にとって本来必要なかったはずの費用。同展開催の背景には「皆に気持ち良く利用していただけるよう、本を大切に扱ってほしい」との啓発の思いが込められている。
昨年度451冊修復
同展では、破損した本を手作業で直す「図書修理ボランティア」についても写真付きで紹介。本への書き込みを消しゴムで消したり、切り取られたページを、他の図書館の本をコピーして貼って修復したりする作業の様子などを伝えている。
市民有志を募り、緑図書館で同ボランティア活動が始まったのは2010年度。1995年5月に開館した同館では、長年にわたる利用で蔵書の傷みが激しくなり、職員だけでは修理し切れなくなっていたという。
緑図書館では6月4日現在、10人の修理ボランティアが活動中。日頃、図書館の地下の会議室で修復作業に当たっているという。23年度は年間で延べ38日、累計148人が作業。修復した本は451冊に上った。
ただ、同ボランティアメンバーの人数は、高齢化などを背景に昨年度より3人減少しており、同館は新規メンバーを募集している。
本が「泣いている」
同館の高倉徹館長は「本に汚れがひどいと、読む気持ちが損なわれることもある。修理は結構根気のいる作業で、ボランティアの方々には頭が下がる思い」と語る。
一部の心無い人のために、多くの人が不愉快な思いをしている。「本が泣いています」。特別展の張り紙には、大きな文字でそう書かれている。