日米両スカウトが指摘する佐々木麟太郎の弱点…走攻守、環境、精神面で課題山積

佐々木麟太郎(C)AP=共同

米スタンフォード大の佐々木麟太郎(19)がMLB主催の「MLBドラフトリーグ」に「4番・一塁」として初出場。

MLB公式サイトが「日本の強打の天才」とアナウンスすれば、試合中継の実況アナ氏は「将来のドラ1候補」と紹介していたが、「(いきなり4番などは)あの大谷翔平の母校の監督の息子ということで、運営側が配慮した結果ではないか。MLB公式サイトの破格の扱いも含め、VIP待遇を受けているのは確かです」とは現地特派員。(【前編】からつづく)

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そんな佐々木には、早くも強力なサポート態勢が敷かれている。

ハリウッドを拠点とする大手代理人事務所「WME」のスポーツ部門とエージェント契約を結んだのだ。

スポーツ部門には、テニスのノバク・ジョコビッチやセリーナ・ウィリアムズ、野球ではヤンキースの若手有望株であるアンソニー・ボルペが所属。芸能部門はかつてエルビス・プレスリーやマリリン・モンローらが所属、歌手のブルーノ・マーズ、モデルのミランダ・カーら多くのセレブを抱えている。佐々木も「日本のセレブ」「日本のスター候補」として、青田買いされた形だ。

今後は大学生活を経て、2年後の2026年全米ドラフトに向けて、成長を重ねることになる。

前述のMLB公式サイトによれば、某球団のスカウトが「渡米当初の大谷翔平や松井秀喜よりパワーがある」と絶賛し、「評判通りに打ちまくれば、守備の問題は誰も気にしないだろう」と指摘したものの、前出の特派員は「米国では日本よりも長打力に対する評価は高いといわれています。とはいえ、一塁のポジションを巡る熾烈な競争を勝ち抜く必要があります」と、こう続ける。

「スタンフォード大の公式サイトのロースターには、一塁手が捕手兼任を含めて3人いる。今年3年生になるジェイク・サピエンは昨季、打率.262、0本塁打、8打点ながら、一昨年は打率.301、3本塁打、16打点と活躍。守備も安定しており、過去2年でわずか2失策。今年2年生になるボランドン・ローソンも昨季は4本塁打、18打点で佐々木と同じパワーヒッター。そもそも、スタンフォード大が所属するアトランティック・コースト・カンファレンスは好投手が揃っているだけに、簡単には打たせてもらえないでしょう。しかも佐々木は大事な金の卵。現場は故障を恐れるはずで、いくら守備や走塁を鍛えるといっても限界があります」

日本の某球団スカウトもこう指摘する。

「高校通算140本塁打を放ったとはいえ、3年夏の甲子園ではノーアーチに終わった。全国レベルの投手が相手だと、まだまだ物足りなさが残ったのは事実ですが、中には1位指名を考えていた球団もある。本人はプロ入りを目指していたそうですが、甲子園で不完全燃焼に終わったこともあって、最終的にプロ入りを諦めた。高校生なのだから未熟な部分はあって当然ですが、周囲の手厚いサポートがあるお坊ちゃんだから、米国に留学できた面もある。プロで勝負しようという気概に欠ける、と受け止めた関係者は少なくない」

さらに米球団のスカウトは、「守備や走塁はもちろん、打撃にも課題がある」と、こう続ける。

「たしかにメジャーではパワーヒッターが高い評価を受ける。ナ・リーグにもDH制が採用され、打つだけの選手でも指名される可能性は高まっている。しかし、佐々木がメジャーにドラフト指名されるためには、内角の速いボールへの対応力の向上が不可欠です。米国は160キロ前後を投げる投手は山ほどいる。いくら大手の代理人事務所がバックにいても、実力が伴わなければもちろん指名漏れの憂き目に遭う。ドラフトまでの2年間でいかに内角を打てるようになるかがポイントになるでしょう」

周囲がいくら最高級のお膳立てをしたところで、2年後のメジャー入りという夢が実現するかどうかは、本人の実力次第というわけだ。(つづく)

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そもそも佐々木が出場している「MLBドラフトリーグ」とはいったい何か。

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