『9ボーダー』YOUが若者たちへ一歩踏み出すアドバイス 「かいていい恥はいっぱいあります」

毎週金曜22時よりTBS系で放送されているドラマ『9ボーダー』第9話の放送を前に、YOUのインタビューコメントが公開された。

本作は、19歳、29歳、39歳と、各年代のラストイヤー=「9ボーダー」真っ只中の3姉妹を主役としたヒューマンラブストーリー。父の突然の失踪を機に一つ屋根の下に集結した3姉妹が、「LOVE」「LIFE」「LIMIT」の“3L”をテーマに、モヤモヤや焦りを抱え幸せになりたいともがきながら、人生を前向きに進んでいく姿を描く。

YOUが演じているのは、松下洸平演じるコウタロウが働くバルの店主・辻本あつ子。あつ子は自身に近い部分が多いそうで、「特に何かするということはありませんでした」と特別な役作りをしなかったことを明かす。似ているポイントとしては、「明るい人ですし、大人ですし、そこは近いと思いますね」とコメント。

初共演となる松下については、「色んな作品を拝見していて抱いていた印象と近い方でした。でも、撮影合間などにお話していて、ある意味(笑)もっともっとチャーミングなところがたくさんある方でした。意外と苦手なことがあるみたいで(笑)。『どうせなんでもできちゃうんでしょう?』ってお話していて。実はそうでもなさそうなところがあるのが、また魅力的でした」とその魅力を明かした。

第2話では、あつ子が「結婚する人しない人、子供を持つ人持たない人、みんな幸せになれ」と話すシーンがあった。YOUの中で、世の中に幸せな人が増えるためには何が必要だと考えているのだろうか。

「みんながポジティブになれたらいいですよね。ただ、みんな違うところにネガティブな思いがあったりするじゃないですか。それが一緒だったら簡単な話なのかもしれないですが……。でも私は、それも個人の魅力だと思うんです。若いうちはそれが魅力だとはなかなか思えないかもしれないけど、『大人』の私から見たら、もう全部魅力に見えちゃうんですよね。だからそういうことを話す大人が周りにいっぱいいたらいいんじゃないかなと思います」

YOUが「みんながポジティブになれたらいい」と考えるようになったきっかけとは?

「私みたいな仕事をしていると、若いときからいろんな人に会うし、私もそこでポジティブな考えが育ったと思います。逆に、ずっと同じ職場・同じ環境にいたり、例えば学校しか交流の場がなかったりすると、自分にとっての当たり外れのようなものにも左右されやすいと思います。その点では、私は毎回違う人と違う場所で、あまり自分とは合わない方がいたとしても、撮影が終われば移っていけました。ただ、それもなかなか難しいと思うので、趣味だったり、行きつけのお店だったり、お散歩だったり、とにかく『自分の居場所アイテム』を増やしていくと、いい大人に会える確率が高くなると思いますね」

居場所はできるだけあった方がいいという経験則があるようだ。

「やっぱり1カ所、2カ所だけだと、いろんな人に出会うっていうことが確率的にもなかなか難しいと思うんです。職場は1カ所でも、家庭は1つでも、趣味を通じてでも3つ目を見つけて、そういうところで知り合うきっかけを増やしていけると、『あっ』って光が差す感じが増えるような気がするんですよね、特に若い方は。そうすると年を取ったときに分かるようになるんです、何が自分に必要か。でも若いときから同じ場所にいると、なんか固まった感じになってしまうと思います」

YOUが考える「いい大人」とは?

「何かを引き出してくれる、『“いい”大人』というより、“いろんな”大人ですよね。だめな大人も、いい大人もいっぱい見ないと、その人たちがもし自分にとって『だめな大人』だった場合、未来に希望が持てなくなる。だからいろんなおばさんやおじさんに話しかけたり、大人じゃなくてもいいんです。少し自分の一歩踏み出したところで話しかけてみたり。いろんなところに出かけてみてほしいですね」

YOUがまだ「大人」ではなかったときに、そういう出会いがあったという。

「私は16、7歳から周りは大人ばっかりでしたね。良い悪いじゃなくて、悪い大人にも良いところがあるんですよ。かっこいいところとか。その経験を自分で集めてきて、自分のものにする。だから大人だけじゃなくて、いろんなもの、いろんな場所・人を見ることが一番早い成長だと思います」

劇中での3姉妹もそうですが、焦ったりモヤモヤしたりしている人たちに、一歩踏み出すためのアドバイスとして、次のようにメッセージを送った。

「携帯電話の中だけで暮らさないでほしいなと思います。本を読んでいてもいいんだけど、やっぱり経験なので。今は『Google Earth(衛星画像によるバーチャル地球儀システム)』で世界に行っちゃってる気になってるから。それでもいいんですよ、全部行けないから。でもやっぱり経験は一番大きいと思います。実際にしゃべらないと分からないことってあるので。だから散歩したり、いつも行くごはん屋さんの人に話しかけてみたりしてもいいと思います。話しかけられないとしたら、私はそれはただの自尊心だと思うんです。誰も自分のことを知らないのに恥ずかしいと思うことは、ある意味、自意識過剰。大人から見ると、『何も持っていない若造が何を恥ずかしがっているんだ!』と。でも最初からは無理だと思うので、お酒が飲める年齢であれば、ビール1杯引っかけに行ってみるのもいいと思います。まだ出来上がってないプライドは、自分だけが持っている、実はすごく要らないものなんですよね、本当は。恥も外聞も、まだ失礼しちゃっても謝ることもできると思うんです。30や40を過ぎると、だめだったり、失敗して巻き返せるか分からなかったりすることも出てきます。だから10代で親も元気で『すみません! うちの子が』って言ってもらえるうちは『恥をかけ』って思います。初めて一歩を踏み出すのが遅くなればなるほど、『恥ずかしいこと』になっていってしまう。若いうちは、知らないから失敗はするもの。だから恥をかいてもいい」

若いからこそ「恥」も恥ずかしくはないとYOUは続ける。

「若いときはすごく恥ずかしいことをしてみんなに笑われるのが当たり前なんです。それを我々はやってきて、散々笑われているので。もうなんとも思わないです。それで年を重ねたら、ああいう失敗はもうしちゃだめだな、となる。もちろん、人道的にだめなことはだめですよ。ただ、転んじゃうとか、話しかけて無視されるとかは、恥ずかしいことではないです。それを取っておくことの方がよっぽど恥ずかしいこと! って、ちょっと脅しに近いですが(笑)。でも、かいていい恥はいっぱいありますよ、若いうちに。だから急いでください! って思います」
(文=リアルサウンド編集部)

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