「iOS 18」で楽しみな機能、そうでない機能

Appleが米国時間6月10日、「Worldwide Developers Conference」(WWDC)で「iOS 18」を発表するまで、筆者はこの次期「iOS」に期待していなかった。これまでにiOSの多くのバージョンと機能をテストしてきたが、うわさされていたiOS 18の機能に胸が躍ることはなかった。

Appleが紹介した新機能には、魅力を感じられないものや、必要性を感じないものもいくつかあった。そうした機能の一部は、現行のiOSで可能なものだったからだ。しかし、全体的に見れば、AppleによるiOS 18のプレゼンテーションが終わったとき、その印象は上々だった。今ではこのOSが2024年秋にリリースされるのを楽しみにしている。今回の変更内容のうちのいくつかは、この先何年も使うことになるだろうと確信しているからだ。

本記事では、プレゼンテーションで披露されたiOS 18の機能の中から、筆者が楽しみにしているものと、おそらくあまり使わないであろう機能もいくつか紹介する。

ホーム画面とロック画面のカスタマイズ機能

Appleに感謝したい反面、やっとかという気持ちもある。筆者はかなり前からこの2つの機能があればいいのにと思っていたが、まさか同時に実装されるとは思っていなかった。

妻や愛犬の写真を背景に設定しても、「Instagram」や「Spotify」のアイコンで顔が覆われてしまう。筆者は、これがいつも腑に落ちなかった。アイコンで背景が覆われないよう、アプリをフォルダーに分類したり、一部のアイコンを「アプリライブラリ」に隠したりしていた。しかし、iOS 18では、アイコンを背景の周りに配置できるようになるので、そのような問題に遭遇することはなくなるだろう。

ロック画面の機能を変更する機能も、同様の機能が2023年に「Android」に導入されて以来、筆者が求めていた機能だ。右にスワイプするだけでカメラにアクセスできるのだから、ロック画面にカメラ機能は必要ない。スマートフォンをポケットに入れるときにフラッシュライト(懐中電灯)がオンになるのも、まったくもって不要だ。

「コントロールセンター」でより詳細なコントロールが可能に

コントロールセンターは、「バランスが悪い」という表現が最もよく当てはまるiPhoneの機能だ。必ずしも必要ではないコントロールが大量に詰め込まれているような感じがするし、削除や整理ができないコントロールもある。コントロールを追加する手順も面倒で、追加したところでコントロールセンターがさらに肥大化したように感じるだけだ。

しかし、iOS 18で、コントロールセンターのレイアウトをカスタマイズしたり、コントロールセンターの画面を追加したりする方法をAppleが紹介したとき、筆者の気持ちは高ぶった。コントロールセンターから不要な要素を取り除き、コントロールを複数の画面に分散させることが可能になる。コントロールを追加する操作も簡単になるため、個人的に今後は、いら立ちながらお手上げ状態になるのではなく、コントロールセンターをもっと活用するようになるとみている。

ホーム画面とロック画面に加えて、iPhoneの表示機能もニーズや好みに合わせてカスタマイズしたいというユーザーの要望に、Appleはようやく耳を傾けているようだ。

非常に楽しみな「メッセージ」のアップグレード

メッセージを送信する新しいさまざまな方法を楽しみに感じるとは思っていなかった。ところがどうだろう。Appleの発表によると、iOS 18では、作成したメッセージを後で送信するようにスケジュールしたり、テキストエフェクトを追加して単語やフレーズを強調したりできるほか、Tapback(「リアクション」のApple版)もアップグレードされるという。まるでAppleがメッセージアプリに対する筆者の要望を読み取って、そこにもう少し機能を付け足してくれたかのようだ。

まず、メッセージの送信予約機能は、もう何年も「こんな機能が欲しい」という筆者のリストの最上位に位置していた機能だ。シフト勤務で、睡眠時間が人とは異なる生活を、筆者は10年以上送ってきた。そのため、ほとんどの人が起きている午後7時にベッドの中にいて、逆にほとんどの人が寝ている午前4時には起きている。そんな時間にメッセージを送信して、寝ている相手を起こしたくはないし、筆者に対しても同じように気を遣ってもらえるとうれしい。

次に、テキストエフェクトを追加してほしいと思っていた自覚はなかったが、どうやら筆者には必要な機能なようだ。筆者は感情が豊かで、興奮しやすいので、そうした気持ちをメッセージで伝えたいと思っている。

最後に、「Tapback」の種類が増えるのもうれしい。現在の6種類のリアクション(ハート、サムズアップ、サムズダウン、笑、!!、?)は、分かりにくいと感じる人もいれば、チャットの終わりを示すものと解釈する人もいる。ステッカーを使用すれば、すべての絵文字にアクセスできるので、それでメッセージへのリアクションを示すこともできるが、ステッカーは通常、メッセージの一部を覆ってしまう。リアクションの種類が増えることで、感情を迅速かつ簡潔に伝えやすくなり、解釈の余地が少なくなることを期待したい。

簡単にではあるが、iPhoneでRCS(訳注:Rich Communication Servicesの略。SMSの代わりとなるコミュニケーションサービス)がサポートされることも紹介された。多くの人がこの機能を楽しみにしていることは知っているが、個人的には関心がない。RCSがなくても、メッセージは届くからだ。

「ジャーナル」で心の状態を記録

筆者はよく日記をつけているが、AppleがWWDCで「ジャーナル」アプリのこの新機能を発表したときに初めて、自分がその日にやったことしか記録していないということに気がついた。筆者の日記は、主に自分がやったことを思い出すための手段である。しかし、日記をつけている瞬間の自分の気持ちを深く掘り下げたことは、ほとんどない。だから、自分自身にそのときの気持ちを問いかけることで、精神状態をより有意義に振り返ることができる、このジャーナルアプリの新機能を楽しみにしている。確かに、この機能は決して派手でも直感的でもないが、自分の内面と外面の健康状態を記録するのに役立つことを期待している。

うれしい驚きだった「ゲームモード」

ここ何年か、「iPhone 14 Pro」でゲームをすることが多くなった。「Apple Arcade」や「Netflix Games」といったサブスクリプションサービスが登場したり、「Xbox」のコントローラーをiPhoneに接続できるようになったりしたことで、モバイルゲームへの移行が簡単になった。ゲームモードでは、バックグラウンドのアクティビティーが最小限に抑えられるため、iPhoneの電源が切れたり、大量の通知でゲームが中断されたりすることを心配せずに、もう少し長くプレイできるようになると期待している。さらに、フレームレートも向上し、コントローラーなどのBluetooth接続デバイスの遅延も低減されるため、iPhoneでのゲーム体験がより円滑になるはずだ。

iPhoneがあなたの新しいお気に入りのゲーム機になるなどと言うつもりはない。しかし、外出先でゲームを楽しみたいものの、「Nintendo Switch」や「Steam Deck」などの携帯型ゲーム機を入れるスペースがないという人にとって、iPhoneは素晴らしい移動のお供になるかもしれない。

個人的にあまり使わないであろうiOS 18の機能

AppleがWWDCで発表した機能の中には、筆者はおそらくあまり使わないと思うが、ほかのユーザーは利用しそうなものがたくさんあった。

新しいアプリのプライバシー機能

アプリをホーム画面に表示させない機能は不要に感じる。アプリをホーム画面から削除して、アプリライブラリからアクセスすることは、今でも可能だからだ。アプリをロックする機能は、iPhoneが盗まれた場合のセキュリティの強化にはなるかもしれないが、本体のロックを解除してから、アプリのロックを解除しなければならないのは、面倒に感じるかもしれない。自分の子どもに特定のアプリを使わせたくない保護者にとっても、アプリのロック機能は便利かもしれないが、そうなると、赤ちゃんが親のスマートフォンを持って走り回る楽しい動画が見られなくなってしまうだろう。そんな国宝のような動画がなくなってしまうのは、いやだ。

「メール」のカテゴリーの増加

メールをカテゴリーごとに分類して、ニュースレターや広告、そのほかのメッセージをきちんと整理できる機能は便利だと思うが、日常的に受信するメールの数がそれほど多くない筆者にとって、この機能はあまり重要ではない。ただし、仕事用のスマートフォンを持っている人には便利かもしれない。

「マップ」の地形図

筆者がもしハイキング愛好家だったら、あるいは、丘陵地帯に住んでいたら、おそらくこの機能にもっと喜んでいただろう。しかし、ハイキングをするのは、数年に1度、テネシー州ガトリンバーグの小道を歩くときだけだ。そして、筆者の住んでいる地域は平たんである。確かに、たまにハイキングに行くのは楽しいが、筆者は自宅がいい。自分の物が全部そろっているからだ。

「Tap to Cash」

これは不安になる機能だ。誰かが筆者のiPhoneを手に取り、「Apple Cash」からすばやく自分に送金したらどうなるのだろうか。そのような悪事を防ぐためにどのような安全対策が講じられるのかは不明だが、Appleがそうしたリスクを考慮して、すでに対策を講じていることを願っている。

改良された「写真」アプリ

筆者はこの新機能の恩恵を受けられるほど写真を撮影しないが、改良が本当に必要だったのかどうかも分からない。今でも、ユーザーは自分でアルバムを作成することが可能で、写真アプリはイベントやユーザーが訪れた場所などに基づいて「メモリー」を作成することができる。さらに、写真アプリは、日、月、年に基づいて写真を整理する機能も備えている。Appleによると、写真アプリの設計を見直して新たなツールを追加したとのことだが、アプリの機能のリブランディングを行っただけのように聞こえる。

「Apple Intelligence」

これらの機能については、何ができるのかを確認するために1度だけ試すことを除けば、使用したいとは思わない。「Genmoji」の作成機能は斬新な印象を受ける。筆者は「Siri」を日常的に使用しておらず、今後もそれは変わらないだろう。なぜメッセージの要約や返信メッセージの生成をiPhoneにやってもらう必要があるのだろうか。この職業を選んだことからも分かるように、筆者は文章を読んだり、書いたりするのが好きだ。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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