福島県いわき市小名浜に新拠点 堺化学工業 化粧品原料増産へ

 総合化学品メーカー堺化学工業(本社・堺市)は成長分野の化粧品原料の増産に向け、福島県いわき市の小名浜事業所大剣工場に製造施設を新設する。9月にも着工し、2026(令和8)年2月の稼働を目指す。

 化粧品は近年、女性だけでなく肌の状態を気にする男性や子どもにも需要がある。同社は今後も市場拡大が見込めるとして化粧品原料の分野を経営計画の中核に位置付けており、収益の一層の確保を目的に施設を設ける。

 新設する施設は地上3階建てで延床面積は2557平方メートル。投資額は約26億円。稼働後は専門性の高い従業員を既存の工場から異動させる他、新規雇用も見込んでいる。同社は化粧品分野の製品として現在、日焼け止めの有機系原料を主に製造しており、施設新設と並行してアレルギーを起こしにくく子どもや敏感肌の人でも使いやすい無機系の原料生産に切り替えていくという。板状硫酸バリウムや球状炭酸カルシウム、化粧品蛍光体など、将来的には生産品目を増やす構想もある。

 長期的には、マイクロプラスチックビーズなどを含まず環境負荷の低減が期待される製品の開発も目指していきたい考え。同社の担当者は「成長事業を軸にして化学で社会貢献できればうれしい」と話している。

 施設新設に合わせ、1億6千万円を投資し工業化試験棟を改修する。付加価値の高い製品の試作などの体制を充実させる。

※堺化学工業 1918(大正7)年6月、堺市に堺精錬所として創立。1932(昭和7)年2月に株式会社に組織変更し、同年11月に現社名に商号を変更した。酸化チタンやバリウム製品、電子材料、化粧品材料、医薬品原料などさまざまな化学製品を製造している。東証プライム上場。いわき市の小名浜事業所は1963年5月に操業を開始した。

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