ふくしま創生 ペット型ロボ開発着手 福島大×リビングロボット社(伊達)×日大工学部

 福島大は福島県伊達市のベンチャー企業などと連携し、人の感情やストレスの状態を読み取って動くペット型ロボットの開発に乗り出した。高度なAI(人工知能)を搭載し、表情や声などから持ち主の感情を推定してすり寄ったり優しい声色で鳴いたりして癒やす。2027(令和9)年度の商品化を目指しており、1人暮らしや孤独を抱える人の心のケアをはじめ、介護や保育の現場など幅広く活用してもらいたい考えだ。

 福島大共生システム理工学類の衣川潤准教授を中心に、伊達市の「リビングロボット」と日大工学部が今春から研究を進めている。

 センサーを使って持ち主の声や視線などから感情を読み取り、適切な反応を示すロボットにするのが目標。ウエアラブル(着衣型)機器などで心拍数や瞳孔、声の特徴などを数値化し、前向きや後ろ向きなどの感情と結び付けてAIに学習させる。衣川准教授の研究室の学生がすでに開発した成果を活用する方向で、人に寄り添うロボットを研究する渡辺すみれさん(25)=博士前期課程2年=、健康管理に役立つロボットをテーマにする長岡瞬さん(23)=同=がこれまでに開発した技術を応用する。

 読み取った感情に応じて猫のようにすり寄ったりかわいらしく鳴いたりできれば、持ち主に心理的な安心感や共感を与えることができる。「癒やし」に適したロボットの形状も並行して探究しており、働く世代や独居世帯の高齢者、子どもら一人一人の年齢や性格に合わせて反応する「パーソナルロボット」として家庭に普及させたい考えだ。2027年度にもペットのように連れて歩けるロボットとして売り出す。

 リビングロボットは学習用小型ロボット「あるくメカトロウィーゴ」をすでに商品化している。ペット型ロボットは部品を減らすなどして価格を「あるくメカトロウィーゴ」の半額ほどの5万円程度に抑える。開発に当たり県の「産学連携ロボット研究開発支援事業」に採択されており、3年間で最大6千万円の支援を受ける。

 リビングロボットの川内康裕社長は「人の感情に寄り添うことは人間同士でも難しい。互いに知恵を出し合って挑戦したい」と意気込む。衣川准教授は「子どもからお年寄りまで幅広い年代を支えるロボットをつくる」と目標を掲げている。

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