札幌市が新たな「アーバンベア対策」 人とヒグマの"すみ分け"実現へ 山に近い公園や観光施設に《電気柵》を設置 & クマの餌となる「クルミ」などの分布調査 北海道札幌市

札幌西区の住宅街近くで目撃されたクマ(提供:札幌市 2024年5月)

札幌市が人とクマの”すみ分け”の実現に向け、山林の近くにある公園や観光施設の周辺に、電気柵の設置を進めることが分かりました。札幌市が2023年度、新たに策定した「さっぽろヒグマ基本計画」に基づく新たな取り組み、事業実施プラン案で、6月13日の「ヒグマ基本計画推進協議会」で明らかになりました。札幌市によりますと、人とクマの”すみ分け”を進めることが目的です。人とクマが住むエリアの「境目」になる、山林近くの公園や観光施設に電気柵の設置を進め、クマの浸入を防ぎます。

札幌西区で目撃されたクルミを食べるクマ(撮影:視聴者 2023年6月)

「境目」の山林にあるクルミなどはクマの餌になっていて、クマが繰り返し人里に近づく要因の一つとなっています。このためクルミの分布状況を調べることで適正な管理につなげます。従来実施してきたクマの生態などの理解を深める町内会向け講座に加え、キャンプ場の施設管理者を集めてクマ対策などをレクチャーする講座も始めます。対策を講じる施設を増やすため、認証制度の導入も検討します。新たな対策は、いずれも札幌市が「クマ対策重点エリア」としている三角山、円山、藻岩山などが含まれる西区から中央区、南区にまたがるエリアが対象です。基本計画推進協議会では、出席した有識者から「ホームページや広報を使った発信だけでは受け身だ。自分たちで番組をつくるつもりで発信を」と指摘する声が上がりました。札幌市は協議会で上がった有識者の意見を踏まえ、6月中には最終案をまとめて公表する予定です。

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