【ライブレポート】タリスマン、<スウェーデン・ロック・フェスティバル>で好演

活動に終止符が打たれていたスウェーデンのハードロックバンド、タリスマンが10年ぶりとなる<スウェーデン・ロック・フェスティバル>に出演した。

バンドの中心人物であった故マルセル・ヤコブ(B)(1964-2009)はスウェーデンのハードロック界に多大な功績を残したミュージシャンである。イングヴェイ・マルムスティーンのライジング・フォースやヨーロッパの前身であったフォースを脱退後、1989年からタリスマンを始動。1993年には来日公演も果たしていたが、タリスマンとしての来日はこの時限りとなった。

今回はマルセルの生誕60年を記念した特別な出演ラインナップであり、バンドメイトであるジェフ・スコット・ソート(Vo)、フレドリック・オーケンソン(G)、ジェイミー・ボーガー(Dr)が集結し、マルセルの代役はヨハン・ニーマン(エバーグレイ)が務める事をフェスティバル開催約2ヶ月前に発表されたのである。

これまでも何度か再結成ライブを行い、スウェーデン・ロック・フェスティバルにも出演しているが、10年前はオーケンソンのスケジュールが合わず、ポンタス・ノルグレン(G)だった事もあり今回はクラシックメンバーが揃っての出演となった。

フェスティバル初日のお昼、タリスマンのロゴ入りのドラムセットが見えただけで感動モノで、開演前からそのステージに詰めかけたオーディエンスが「I'll Be Waiting」のサビ部分を合唱し始める。当時からこの曲はとにかく母国スウェーデンでも大人気で、これをみんなで歌う事がお約束になっているようなところがある。

オープニングは彼らの1stアルバムのトップを飾る「Break Your Chains」から。ジェイミー(Dr)以外はシックな黒を基調とした装いながら、ジェフはサングラスやターバンを時折り身に付けてメリハリをつけてくれる。今回「Humanimal」がライブ初披露されたのも特別であったし、ジェフによるメンバー紹介ではメンバーを旧友として長く信頼している気持ちも伝わってきた。

オーケンソンのギターはしっくり来るし、ヨハンのベースは非常に技巧的かつグルーヴもマルセルを十分に彷彿させているが、やはりタリスマンとしての重みはジェフのソウルフルな歌唱とジェイミーの二人が背負っている。サポートのキーボードにはジェフとS.O.T.O.でプレイしているBJが参加してタリスマンをまた蘇らせてくれた。

マルセルの生誕60年である2024年1月31日には新曲「Save Our Love」もサプライズリリースしていたが、ここはやはり初期のナンバーが並ぶ。どの楽曲もタリスマンの代表的なもので、「スウェーデンに帰ってこられてとても嬉しい、僕たちの故郷だ」と「Comin' Home」を演奏したのもオーディエンスを喜ばせたし、後期の名曲「Tears in the Sky」、お待ちかねの「I'll Be Waiting」、ラストの「Standin' on Fire」まであっという間の60分。ショウのフィナーレにはマルセルの映像が数枚映し出された。これまでもたまたまなのか、運良くライブ音源を残してきただけに、どうかこのステージの音源もライブ盤としてリリースされる事を願っている。

このフェスティバルでのメンバー情報としては、ジェイミー(Dr)は翌日のスウェディッシュ・エロティカ、翌々日のトリートと、このフェスティバルに3日間とも別バンドで出演するほどの多忙ぶりだった。

そして、同日の夕方に出演したウィンガーでもサプライズの場面あり。ウィンガーは昨年の日本公演同様にジョン・ロス(G)の代役でハウイー・サイモン(G)が参加。ハウイーは後期タリスマンのメンバーでもある事からなのか、キップ・ウィンガー(Vo, B)がステージにジェフを呼び込み、「Miles Away」を一緒に披露してくれた。

翌日のヘッドライナーであったジャーニーにも一時在籍していたジェフは、バックステージで現シンガーのアーネル・ピネダ(Vo)とも交流していたようだ。

文・写真◎Sweeet Rock / Aki

< TALISMAN 〜 Sweden Rock Festival 2024 〜>

2024.6.5. Norje Havsbad , Sweden
1.Break Your Chains
2.Dangerous
3.Fabricated War
4.Humanimal
5.Mysterious(This Time It's Serious)
6.All or Nothing
7.If U Would Only Be My Friend
8.Comin' Home
9.Tears in the Sky
10.I'll Be Waiting
11.Standin' on Fire

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