トランプ前米大統領、連邦議会周辺を訪問 襲撃事件後初めて

アメリカのドナルド・トランプ前大統領は13日、連邦議会議事堂近くの施設で共和党議員らとの会合に臨んだ。議会周辺を訪れたのは、3年前に自らの支持者らが議会襲撃事件を起こしてから初めて。

トランプ氏は11月の大統領選挙で、共和党候補に指名される見通しとなっている。ただ、5月末にはニューヨーク州の裁判所で、「不倫口止め料」の支払いをめぐる業務記録への虚偽記載で有罪評決を受けたこともあり、党内は必ずしも同氏支持でまとまっていない。

トランプ氏はこの日午前、議事堂近くの共和党のオフィスビルに到着。その途中には、「クーデター失敗」、「民主主義は永遠、トランプは絶対だめ」などと書かれたボードなどを掲げた、少数の抗議者たちの脇を通り過ぎた。

午後には短い記者会見に臨み、共和党内は「素晴らしく団結している」と述べた。また、同党の仲間の議員に対しては、たとえ意見が合わなくても支えていくと誓った。

トランプ氏は、「私はあなた方一人ひとりと共にある。いつも一緒にいる」、「もし(関係が)素晴らしいものでなかったとしても、解決される」と発言。

「私たちが考えていることは一つで、私たちの国を再び偉大にするということだ」とした。

トランプ氏は質問を受け付けなかった。付近で「愛してる」と叫ぶ少人数の支持者らには、手を振って親指を立て、「ありがとう」と口を動かした。

出席議員らは高く評価

トランプ氏と顔を合わせた共和党議員らは、会合の感想をそれぞれに口にした。

マイク・ジョンソン下院議長は、トランプ氏が「今朝、実に大量のエネルギーと熱意をもってきてくれた」と説明。

マット・ゲイツ下院議員(フロリダ州)は、「激励会」のような会合だったと述べた。

マージョリー・テイラー・グリーン下院議員(ジョージア州)は、党内では「トランプへの圧倒的な支持」しか目にしないと主張。「ここワシントンで共和党員が、トランプ大統領と、大統領選に向けた活動を支えようと結集しているのは、うれしいこと」だと話した。

これまで公然とトランプ氏を批判してきたミッチ・マコネル上院院内総務は、「実に前向きな」訪問だったと評価。「彼は総立ちの拍手をたくさん受けた」と付け加えた。

同じくトランプ氏に批判的なミット・ロムニー上院議員(ユタ州)とビル・キャシディ上院議員(ルイジアナ州)も、この日の会合に出席した。

ジョシュ・ホーリー上院議員(ミズーリ州)は、トランプ氏が党上院議員らに対して「非常に丁重」で「温かかった」と説明。「私はここに来て5年になると思うが、これまでに出た上院議員とトランプ氏との会合で、最も温かいものだったのではないか」と述べた。

ホーリー氏によると、トランプ氏は会合で人工妊娠中絶について「かなりたくさん」話し、この問題を決めるのは有権者であるべきとの立場を強調したという。

一方、民主党のナンシー・ペロシ元下院議長は声明で、トランプ氏は「反乱の扇動者であり(中略)犯罪現場に戻ってきた」と批判。「ドナルド・トランプは今日、私たちの民主主義を解体するという、かつてと同じ使命を抱えて議会にやってきた」とした。

「恐ろしい」街発言で弁明

この日の共和党議員らとの会合をめぐっては、トランプ氏がウィスコンシン州ミルウォーキー市について、「恐ろしい」街だと発言したとの報道が出ている。同市では来月、共和党の全国大会が開催される。

トランプ氏の広報担当は、発言は同市のことではなく、同市の犯罪についてだったと弁明した。

会合の前には、米政治系メディア「ポリティコ」がトランプ氏について、ジョンソン下院議長に電話してニューヨーク州の裁判所で5月末に出された有罪評決を覆すのを手助けしてほしいと求めたと報じた。トランプ氏が「私たちはこれを覆さなくてはならない」と言ったとしている。

マーカス・モリナロ下院議員(ニューヨーク州、共和党)は、この日の会合でトランプ氏は有罪評決に言及しなかったと、BBCが提携する米CBSに話した。

(英語記事 Trump visits Capitol Hill for first time since Jan 6 riot

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