“二姫三太郎”ママの5人育児。元気で生きてその日が終われたら『よかったな』と…日々に感謝【多胎育児体験談】

広島県在住の上岡あやきさん(34歳)は、長女・ゆづきちゃん(7歳)、3つ子の長男・はるきくん、二男・りゅうとくん、三男・そうたくん(5歳)、二女・しずくちゃん(2歳)、夫・たかはるさんの7人家族です。三卵性の3つ子を含む、5人きょうだいの育児に奮闘中のあやきさんに、働くママの1日のスケジュールや、子どもたちの成長、3つ子育児ならではの楽しさ・面白さについてお聞きしました。全2回のインタビューの2回目です。

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絶賛ラン活中!進級進学は一度に3人分の出費

ベビーカーに乗っている3つ子

2018年に3つ子の男の子を出産したあやきさん。3つ子育児は、出産準備や日用品の調達もひと苦労です。

「出産準備は新品にこだわらず用意しました。ベビーカーは義父が出産祝いにコストコで縦型の双子用ベビーカーを買ってくれました。バウンサーは私の両親が中古品を用意してくれました。チャイルドシートは夫の姉に譲ってもらったり、ベビー用品専門のリサイクルショップで購入しました。

日用品の買い出し中にお店で知人に会うと、買い物の量が多すぎて大抵驚かれます(笑)。オムツは“おひとりさま●点まで”と数量制限されていることが多く、一度にたくさん購入できないこともあったので、お店で買えないときはネットで5袋入りのダンボールを月に2、3箱、箱買いしていました。また、生後4カ月からは完ミだったので、調乳が楽なキューブタイプのミルクを箱買いしていました」(あやきさん)

3つ子を含む、5人の子どもを育てていると経済的な負担も少なくありません。

「今後、金銭面では“習い事”や“進級進学”が大変になると思います。長女と3つ子はそれぞれ習い事をしていますが、たくさん習い事をさせてあげるのは厳しいですね…。今は3つ子のラン活中ですが、ランドセルの値段もピンからキリまで。親が絞ったものを見せて『この中のはどう?』と聞いている最中です(笑)。また、小学校からは制服になります。6年間もあればどこかのタイミングで確実にサイズアウトするので制服を買い替える必要もあります。3つ子を授かった時点で分かりきっていたことですが、3人同時の出費は痛いですね。

あとは、食費も怖いです。3つ子はまだ5歳ですが、白米を4合炊いても一晩でなくなります。おそらくどこかのタイミングで1升炊きの炊飯器に買い替えることになりますね(笑)。外食は安いところで食事しても優に6000円は超えるので、おのずと機会が減ってしまいます。けれども子どもたちがもりもりごはんを食べているのを見ると、親としては安心しますね」(あやきさん)

働くママの5人育児「手を抜けるところはどんどん手を抜く」

5人の子どもを育てながら仕事をしている、働くママのあやきさん。1日のスケジュールを聞きました。

「3つ子たちは生後8カ月で保育園に入園しました。そのタイミングで長女も保育園に。子どもたちを早い時期から保育園に預けているのは、3つ子のお世話をするのが大変という理由もありますが、早いうちにいろんな人と関わることも大切だと思ったからです。

仕事の時間は育児から離れているので、リフレッシュの時間になっています(笑)。最初は時短で働いていたので、一度家に帰って夕飯の準備をしてからお迎えに行っていましたが、今は9:00〜17:00(曜日によって15:00)まで働いています。仕事が終わったら、4人の保育園のお迎えと、長女の児童クラブのお迎えをして、帰宅時間はだいたい18:00。それからごはんのしたくです。家事は手を抜けるところはどんどん手を抜いていますね。ごはんはできあがったものからどんどん出すスタイルで、取りあえず食べてくれさえすればいいというメンタルでやっています(笑)。19時までには夫が帰宅するので、おふろに入ったあと、絵本を読んだり、‟オセロ‟をしたり、一緒にカードゲームをしたり、みんなで楽しい時間を過ごしてから寝ています。いつもにぎやかで静かな時間はありませんね。朝は忙しいため、洗濯物は夜にすませて浴室乾燥で乾かしています」(あやきさん)

3人一緒にいればなにも怖くない!無敵な3つ子男児の絆

シンボルカラーを身につけた3つ子

いつもにぎやかで笑いが絶えないという上岡家。3つ子育児ならではの楽しさ・面白さについて聞きました。

「3つ子たちは互いによい遊び相手になっています。サッカー教室では、気がついたらいつの間にか3人だけでボールを追いかけ回していたり、保育園でも、いつの間にか3人そろって遊んでいるのだそうです。3つ子たちの引き寄せ合う力はすごいなと思います。仲間意識が強く、3人でいるとずっと楽しそうでにぎやかで『3人一緒にいればなにも怖くない!』という無敵感が伝わってきます(笑)。

私としては、3人でおそろいの服を着せられるのが楽しいですね。かわいいですし、見ているだけで癒やされます。3つ子は赤・青・黄色と好きな色が違って、それぞれのシンボルカラーになっています。

あとは、全国の3つ子ママとの出会いも楽しいです。インスタグラムで知り合った県内の3つ子ママのグループラインがあり、実際に会ってお話しすることもあります。3つ子を育てているという共通点があるだけなのに、初めて会ったとは思えないぐらい会話が尽きず、共感の嵐で、あっという間に時間がすぎていきます(笑)。大人になってから友だちを作るのってなかなか難しいですが、3つ子を持つママたちと出会えたことは、3つ子を授かってよかったと思うことのひとつです」(あやきさん)

あやきさんは二姫三太郎ママ(@tkyk716)という名前で、3つ子育児の日常をインスタグラムで発信しています。

「3つ子出産のとき、管理入院が始まってからは時間があったので、夫が『3つ子の成長記録のために』とインスタグラムのアカウントを作ってくれました。インスタグラムには、たくさんの3つ子ママがいて、相談や情報交換はもちろん、どんなママでも3つ子という共通点だけで、すごく盛り上がれるので楽しいです。実際にインスタグラムで、同じ時期に3つ子出産した方や、たくさんの3つ子ママとつながることができました。

なかには、わが家のように3つ子以外のきょうだいがいるご家庭や、男の子の3つ子のママ・パパもたくさんいるので、『私も頑張ろう!』と思えます。本当にSNSがある時代でよかったなと思います」(あやきさん)

常にだれか味方がいる。互いに助け合う5人きょうだい

5人きょうだい

5人の子どもたちの成長や性格もそれぞれです。

「3つ子は早産だったので病院でフォローアップ健診を受診しています。3人とも背は小さめ、5歳の健診では発達に大きな遅れはありませんでしたが、はるきとりゅうとは“さ”行がうまく言えないことを指摘されて、言語聴覚士さんと月2回言語訓練をしています。小学校進学に向けて6歳のタイミングで知能検査もする予定です。

3つ子の長男は、マスコット的な存在で、甘え上手。3つ子は生まれた順番に関係なく育てているのですが、なぜか自分がお兄ちゃんだという自覚があるみたいです。兄らしくといつも頑張っています。
3つ子の二男は、きょうだいの中でもど真ん中でマイペースな性格。気まぐれなところもありますが、いちばん好奇心旺盛で怖いもの知らずなのでけがが多いです。いちばん優しくて、よくまわりを見ている気がつくタイプです。
3つ子の三男は、自分が大好き。怒られることは『かっこわるい』ことで、ほめられることは『かっこいい』ことだと思っていて、率先してほめられることをします。3つ子の自覚が強くて、道ゆく人に『僕たち3つ子なんだよ』とだれにでも話しかけます。

いちばん上の長女は、マイペースでのんびり屋。急に弟が3人できても自然に受け入れてくれて、声をかけたり、絵本を読んだり、とてもかわいがってくれていました。今は、長女の下に3人の家来がいるという感じです(笑)。
いちばん下の二女は、きょうだいのなかでは初めてのママっ子で、しっかり者。3つ子ができることは自分もできると思っているので、3つ子が何か手伝ってあげようとすると『やめて!あっちいって!』となんでも自分でやろうとします。3つ子も『二女には負けたくない!』と思っているので、二女に追い抜かれないように一生懸命です。

5人きょうだいは、けんかも多いですが、お互いに助け合っています。『あなたはこれ』『あなたはこれをやって』とそれぞれにお手伝いを頼むと、洗濯物や洗い物、掃除などが同時進行ではかどるので助かっています。おふろではお互いを洗い合いっこしているのですが、背中を洗うときに1列になっているのがかわいいです(笑)。

また、きょうだいが多いと、常にだれか味方がいて(たまに敵にもなりますが)、家でも常にだれか遊び相手がいるので、毎日が楽しそうです。5人もいれば公園へ行って家族だけで野球やサッカーができたり、家では‟ウノ‟や‟ババ抜き‟ができたり、遊びの幅も広がります。そんな子どもたちの姿を見ていると『この5人…私のおなかから生まれたのか』と改めて自分にびっくりしつつも、ほっこりとした気持ちになります」(あやきさん)

1カ月仕事を休むことも…働く多胎児ママが困るのは“病気のとき”

実際に3つ子育児を経験して、改めて「あったらいいな」と思う多胎支援について聞いてみました。

「私の住んでいる地域には多胎支援はありませんでした。ファミリーサポートの案内はありましたが、支援員さん1人に対して子ども3人を同時に預けられないため、ハードルが高く感じられました。私の場合は実家に頼ることができましたが、頼ることができない人は大変な思いをしていると思います。

また、子どもたちが体調を崩したとき、気兼ねなく仕事を休める支援があればいいなと思います。以前、子どもが5人ともアデノウィルスになり、治ったと思ったらインフルエンザにかかってしまったことがあり、1カ月近くだれかしらが体調を崩していた時期がありました。病気のたびに有給と看護休暇があっという間になくなってしまいます。理解のある職場に勤めていますが、あまり長く休んでしまうと私自身が気まずくなってしまうので、夫と交代で仕事を休ませてもらいました。病児保育もありますが、1日何人も預けると利用料で働いた分も消えてしまうので、気軽に利用できません。インフルエンザのワクチン代も5人分ともなると高額なので、毎年インフルエンザがはやる時期はヒヤヒヤしていますね。

保育園にも、多胎支援制度があればいいなと思います。わが家は全員同じ保育園に入ることができましたが、3つ子がそれぞれ別の保育園に入園しなければならないこともあるようです。また、多胎児のママが働いていなくても入れる保育園があったらいいですね。どんなママでも1人でずっと3つ子のお世話をすることは精神衛生上良くないと感じます。2026年度からは働いていなくても保育園に通える“子ども誰でも通園制度”が施行されるそうなので、これから多胎児を育てる予定のママは助かるのではないかなと思います。

あとは、多胎児の子どもの発達を相談できる場所があるといいなと思います。3つ子は早産の子がほとんどなので、まわりの3つ子ママさんの中には、子どもの発達に悩みを抱えている人が多いです。NICUに入っていた子でも病院によってはフォローアップ健診をしていない病院もあるようで、どこに相談していいかわからないと言っているママもいますね」(あやきさん)

3つ子育児、しんどいこともあるけれど、元気に過ごしているだけで感謝

7人家族の上岡家

3つ子育児をしているとまわりから「大変だね」と声をかけられることも多いそうですが、あやきさんは「大変だけれど、にぎやかで楽しい」と答えているそうです。

「3つ子の男の子のおかげで、本当に家の中がうるさいです。ごはん中に歌ったり踊ったりしているし、壁紙もめちゃくちゃ剥がされているし、カーテンでターザンしたり、言うことも聞かないので本当に“悪ガキ”という感じです(笑)。楽しそうにキャッキャと笑っている声すらも、イライラしてしまってしんどいときもあります。そんなときは別の部屋に離れて、1人になって落ちつく時間を作るようにしています。なんでもかんでも全部頑張ろうとしないで、生きてその日が終われたら『よかったな』と思います。あんなに小さかった3つ子がこうやって元気に過ごしているだけで感謝しています。

私は、子育ての大変さ=子どもの人数ではないと思っています。子どもが1人でも大変な人は大変だし、何人いても大変に思わない人もいます。わが家の場合は助けてくれる人もたくさんいて、大変だけれどもそれ以上にかわいさが上回っています。3つ子を育てるというだれもが味わえないような貴重な経験をさせてもらっているなと思います。

1人で抱え込んでしまうママもいると思いますが、無理をしないで、できる限りまわりを頼ってほしいと思います。使えるサポートはなんでも頼って、自分を大切にしてほしいです。自分をいちばん大事に考えてあげられるのは自分だけ。自分のことを犠牲にしすぎないで、ときには自分の時間を作って、自分へのごほうびを用意してあげてください。

私は、3つ子だとわかった瞬間から、まわりを巻き込もうと決めていました。自分1人で育てようとは思わず、みんなで育てようと思っていたからこそ気楽に構えられました。助けてほしいときはしっかりまわりにアピールして、助けてもらったらちゃんとまわりに感謝して、自分自身もまわりの人に還元していく。そんな親の姿を見て、子どもたちもまわりに優しくできる子に成長していってくれたらいいなと思っています。

今でもインスタグラムで『3つ子を妊娠しました』という投稿を見かけると他人事ではいられません。もちろん3つ子育児はきれい事ではいかないし、大変だけれども、3つ子を育てる人生なんてめったに経験できません。せっかくなら一緒に楽しめたらいいなと思っています。応援しています!」(あやきさん)

お話・写真提供/上岡あやきさん(二姫三太郎ママ:@tkyk716) 取材・文/清川優美、たまひよONLINE編集部

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マイノリティな3つ子育児ですが、SNSで同じ3つ子を持つママたちとつながり、共感できる仲間と出会ったことで、元気づけられたと話すあやきさん。悩んでいることも楽しいことも、同じ3つ子ママたちと分かち合いながら目まぐるしい日々の子育てを楽しんでいるようでした。

「たまひよ 家族を考える」では、すべての赤ちゃんや家族にとって、よりよい社会・環境となることをめざしてさまざまな課題を取材し、発信していきます。

●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●記事の内容は2024年5月の情報で、現在と異なる場合があります。

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