【マーメイドS/追い切り診断】能力上位馬に「B」の低評価 掛かり気味で手応え失う……“余裕のない”精神面に懸念

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第29回マーメイドS(16日/GIII、京都芝2000m)には、福永祐一厩舎の管理馬で川田騎手が手綱を取るエーデルブルーメ、西塚騎手で人馬とも重賞初Vを目指すホールネス、重賞連勝を狙うコスタボニータらが出走予定。

本記事では、出走各馬の追い切りを診断し「S」「A」「B」の3段階で評価した有力馬や穴馬をピックアップ。ここでは「ラヴェル」を取り上げる。

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■ラヴェル

【中間調整】2歳時にリバティアイランドに先着してアルテミスSを勝利し、昨年のオークスでは4着。今年の京都記念ではプラダリア、ベラジオオペラら牡馬一線級を相手に0秒5差と健闘している。それを考えれば牝馬限定戦の前走・中山牝馬Sが11着と案外も、水分が残った馬場に脚を取られたようだし、勝負どころから進路がなくなる不利もあった。そもそも大外枠がキツかった。

その後は巻き返しを期し、ひと息入れて前走と同じ牝馬限定のハンデ重賞・マーメイドSへ進むことに。短期放牧を挟んで5月末に帰厩。緩めずある程度基礎は固められていたようで、帰厩後の初時計だった6月5日の1週前追いでCW5F66秒4とさっそく強い負荷を掛けた。しかし行きたがってしまい序盤に消耗したのか、鞍上・坂井騎手が懸命にしごいてもラスト1F13秒4(一杯)と伸びあぐねてしまった。

【最終追い切り】レース当週は助手が騎乗し、CW単走。1週前追いを踏まえて折り合い面を意識したものの、やや掛かり気味に進んでしまう。ラストは気乗りしないのか鞍上が目一杯負荷を掛けてもなかなかギアが上がらず、ドタドタした走りに終わってしまった。ラスト1F11秒8(一杯)と数字上は向上も、やはり素軽さに欠ける走りだった。

【見解】能力上位は誰の目にも明らか。不利が重なったゆえの凡走だった前走から据え置きのハンデ54キロはポテンシャルを考えると有利に映る。しかし帰厩後は変にイライラしているのか、攻めでは余裕がない感じ。序盤に力んで、終いの手応えを失う……という内容が続いてしまった。新馬戦勝ちが夏の小倉だったので暑さがどうこうはないはずだが、なにか精神的に気乗りしない状況なのかも。

オークス時や京都記念時では1週前までにCWであらかた鍛錬を終え、最終追いは坂路でリラックスさせ微調整というのが好走パターン。最終追いまでCWでの調整がズレこんだ形の今回は混戦とは言え信頼は置きづらい。

総合評価「B」

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著者プロフィール

西村武輝(にしむらぶこう)
【重賞深掘りプロジェクト】調教ライター。競走馬の追い切り評価を専門として、ネットメディア中心に執筆を続けているフリーライター。UMAJINでは「競馬サロン」開設以前から毎週の重賞出走全頭のレポートを執筆、担当。またプロレス関連業界にも関わっており、週刊プロレスや書籍等への寄稿歴もある。

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